肥満症予防コラム

肥満を予防するには?

 摂取エネルギーが消費エネルギーを上回るために起こる肥満を単純性肥満といい、肥満全体の95%がこのタイプにあたります。つまり食生活や運動習慣など、肥満になりやすい生活習慣を見直すことで、単純性肥満は予防できると考えられます。

食生活を見直す

1.夜間に食べ過ぎないようにする

 脂肪細胞では、体内時計の調節機能を持ち、脂肪を蓄積する働きがある「BMAL-1」という蛋白質が生成されるのですが、翌日の活動に備えてエネルギー貯蔵を行うため、夜はその生成量が増加します。そのため夜は太りやすい時間帯といえます。

2.1日3食、規則正しく食べる

 夜型の生活をすることで、朝食の欠食が増え、昼、もしくは夜にまとめて多く食べるという人が増えています。しかし朝食を抜く、夜中に食事をするといった不規則な食事の習慣は、生体リズムを乱し、内臓脂肪蓄積の原因になります。

3.ゆっくりよく噛んで、食事に時間をかける

 食べ始めてから脳の満腹中枢が働くまでは約20分かかるため、よく噛んでゆっくり食べることが過食の防止につながります。調理の際もかたい食材を選んだり、大きめに切ったりすることで咀嚼回数を増やすことができます。

 またゆっくり食べることで消化管ホルモンの一種であるインクレチンの分泌がより高まるとされています。インクレチンには満腹感の持続する作用があります。

4.栄養の偏りなく、バランス良く食べる

近年、日本人のエネルギー摂取量は年々減少する傾向にありますが、特に男性において肥満が増加しているという現状があります。これには欧米型の食生活の影響から、動物性脂肪の摂取量が増えていることが理由です。また菓子類や清涼飲料水の過剰な摂取が肥満と関連性があるという報告もあります。

 同じものばかり食べるなど、栄養に偏りのある食生活は太りやすい体を作ります。糖質、蛋白質、脂質をバランスよく摂取することに加え、ビタミン、ミネラル、食物繊維も積極的に摂ることが大切です。ビタミンやミネラルは体内の代謝を促し、食物繊維は糖質やコレステロールの吸収を穏やかにします。

5.アルコールは適量に

 アルコール1gは約7kcal。ビール350mlで150kcal、日本酒1合で200kcal、ワイングラス1杯で100kcalと意外と高カロリーです。加えて、中性脂肪を増やす作用もあります。また脂質や蛋白質の多いつまみを摂りがちなため、内臓脂肪を増やす大きな原因となっています。

運動習慣・日常活動を見直す

身体活動とは運動と生活活動

 1日のエネルギー消費量のうち、50~70%を占めるのが安静時基礎代謝量です。身体活動によるエネルギー消費量は約20~40%、そのうちの半分は、スポーツとかではない、生活活動によるエネルギー消費で、「ニート」と呼ばれ、注目されています。

 歩行、家事、子供と遊ぶなどの日常の活動は、運動強度としては軽めのウエイトトレーニングやゴルフ、バドミントンといったスポーツに相当します。普段からエレベーターを使わない、ちょっとした距離は乗り物に乗らずに歩くなど特別に運動の時間を設けずとも、日常動作の積み重ねでニートを増やすことができますし、肥満改善効果も望めます。