禁煙後の体重増加はどうすれば防げる? 禁煙後に太ってもメリットは大きい 寿命を7年延長
2024年04月26日
禁煙後に体重が増えるのを気にして、禁煙をためらっている人は多い。
しかし、喫煙を続けていると、とくに内臓脂肪が増えやすくなり、長期的にみるとやはり、禁煙に取り組むことで得られるメリットは大きいことが明らかになった。
禁煙に取り組み、健康的な体重を維持し、アルコールの飲みすぎを減らすことで、寿命を最大で7年延長できることも示された。
禁煙後に体重をなるべく増やさないようにするコツも紹介されている。
禁煙後に体重が増えても禁煙のメリットは大きい
禁煙後に体重が増えるのを気にして、禁煙をためらっている人は多い。禁煙すると、基礎代謝が落ち、食欲が増加するため、体重を2~4kg増やす人が多いという報告もある。 しかし、デンマークのコペンハーゲン大学の研究により、喫煙を生涯続けている人は、とくに内臓脂肪が増えやすいことが明らかになった。 禁煙後に一時的に体重が増えたとしても、食事や運動などに気を付ければ体重管理は可能であり、長期的にみれば、内臓脂肪の減少につながり、禁煙するメリットの方が多いとしている。 研究グループは、遺伝子研究の成果にもとづくメンデルランダム化と呼ばれる手法を使い、最大69万7,734人を対象に、喫煙と内臓脂肪の増加との関連について解析した。なぜ禁煙すると太りやすくなる?
欧州内分泌学会(ESE)が発表した別の研究では、禁煙後に体重が増えやすくなるのは、血糖値を調整するホルモンであるインスリンの分泌に変化が生じるからである可能性が示された。 ウィーンのヒーツィング病院が、禁煙プログラムに参加している喫煙者を対象に、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施したところ、禁煙に取り組んだ人は、インスリン感受性が低下し、インスリンが効きにくくなる傾向があることが示された。 参加者は禁煙の3ヵ月後に、平均して体重を4%、体脂肪を22%、それぞれ増やしていた。それにともない、食事での炭水化物の摂取が増え、インスリンが効きにくくなっていることが分かった。どうすれば禁煙後の体重増加を防げる?
「禁煙に取り組む人は、インスリン分泌に変化が生じ、炭水化物への渇望が増え、体重が増える可能性があります」と、同病院のマリエッタ シュタードラー氏は言う。 「しかし、禁煙にともなうそうした変化は、一時的なものとみられます。参加者の多くは、禁煙の6ヵ月後にはそうした変化はみられなくなりました」としている。 長期的にみるとやはり、禁煙に取り組むことで得られるメリットは、喫煙を続けるデメリットを大きく上回るという。 シュタードラー氏は、禁煙後に体重をなるべく増やさないために、▼健康的な食事をとり、意識的にゆっくりとよく噛んで食べるようにする、▼ウォーキングなどの活発な有酸素運動を行い、禁煙後のタバコへの渇望感やイライラなどの離脱症状を減らす、▼糖質の入っていないガムや飲み物など、間食を工夫する、▼1日1回体重測定を行い、スマホアプリなどで記録することを勧めている。健康的な生活スタイルにより寿命を最大で7年延長できる
Estimating causality between smoking and abdominal obesity by Mendelian randomization (Addiction 2024年3月20日)
Increased bodyweight after stopping smoking may be due to changes in insulin secretion (欧州内分泌学会 2012年5月7日)
Effects of smoking cessation on β-cell function, insulin sensitivity, body weight, and appetite (European Journal of Endocrinology 2014年2月1日)
A healthy lifestyle increases life expectancy by up to seven years (マックス プランク人口統計研究所 2017年7月20日)
The Population Health Benefits Of A Healthy Lifestyle: Life Expectancy Increased And Onset Of Disability Delayed (Health Affairs 2017年8月)
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