ご挨拶
一般社団法人 日本肥満症予防協会
理事長 松澤 佑次
2000年に肥満症診断基準、2006年に「肥満症ガイドライン2006」が日本肥満学会で定められ、2005年にはメタボリックシンドロームの診断基準が作成されました。これらを踏まえた「特定健診・保健指導」という、世界に類を見ない国を挙げての肥満・メタボリックシンドローム対策が開始され、2013年にはメタボリックシンドローム該当者数が減少するという成果が上がっています。日本肥満学会を中心とするメタボリックシンドロームや肥満症の研究の進歩は目覚ましく、「肥満研究・対策分野」において、我が国は世界のトップランナーとしての位置を不動のものにしています。
メタボリックシンドローム、肥満症は、糖尿病や脂質異常症、高血圧などを引き起こすだけでなく、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な動脈硬化性疾患の原因となり、さらに最近ではがん、認知症、CKD(慢性腎臓病)、SAS(睡眠時無呼吸症候群)、ロコモティブシンドロームを引き起こすことも明らかになってきています。メタボリックシンドローム及び肥満症対策を行うことで、国家プロジェクトのテーマである「日本人の健康寿命延伸」に大きく貢献することが期待されています。しかし、メタボリックシンドローム・肥満症の認知は一定の広がりを見せているとは言え、そのリスクやさまざまな疾患との関連等未だ十分に理解されておらず、またそれに対する取り組みは十分な効果をあげているとは言えません。
肥満症・メタボリックシンドロームの理解を深め、体重を増加させない健康的な生活習慣を育ていくために、患者や2000万人を超える予備軍に対して、健康情報を提供し、健康の悪化や肥満症への進展を防ぐことが急務です。肥満症の関連疾患の臨床を行っている医師やさまざまな分野で活動する医療スタッフ、保健指導スタッフだけでなく、健康維持や肥満症の予防に関心を持つ企業の参加をお願いし、肥満症予防ネットワークを構築し情報を提供し、実践活動をおこなう担い手として『一般社団法人 日本肥満症予防協会』を設立することに致しました。
(2015年02月)