肥満症とは?
「肥満」とは太っている状態であって、疾病を意味するものではありません。肥満であるかどうかは体脂肪量によりますが、体脂肪量をはかる簡便な方法が無いため、指標としてBMI(Body Mass Index)が世界的に広く用いられています。WHOによる肥満の判定基準は、BMI30以上が肥満です。一方、日本ではBMI25以上を肥満としています。これは日本肥満学会が定義した基準で、日本人はBMI25を超えたあたりから、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧といった合併症の発症頻度が高まることが理由です。
一方、「肥満症」とは肥満に起因、関連する健康障害を有するか、そうした健康障害が予測される内臓脂肪が過剰に蓄積した場合で、減量治療を必要とする状態のことです。肥満は疾患ではありませんが、肥満症は疾患であり、医学的に治療が必要となります。
以下に肥満症の診断のフローチャートを示します。
図1 肥満症診断のフローチャート(肥満症診断基準2011より引用)
1. 11 の肥満関連疾患(耐糖能障害、脂質異常症、 高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、脂肪肝、月経異常及ひ妊娠合併症、睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、整形外科的疾患、肥満関連腎臓病)のうち 1 つ以上の健康障害を有する。
2. 腹部CTにより測定した内臓脂肪面積が100平方cm以上の内臓脂肪型肥満。
2. の内臓脂肪型肥満の判定手順は、まずスクリーニングとして、立位、呼気でのウエスト周囲長(臍の位置)を測定し、男性で85cm以上、女性で90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満の疑いとし、確定診断は腹部CTスキャンによって行います。臍の高さで腹腔内内臓脂肪面積が100平方cm以上であれば内臓脂肪型肥満と判定します。
また肥満症に伴う疾患は内臓脂肪蓄積が原因となりますが、内臓脂肪蓄積が主の「脂肪細胞の質的異常」によるものと、皮下脂肪蓄積が主の「脂肪細胞の量的異常」によるものに分けられます。
脂肪細胞の質的異常により起こる疾患
耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、脂肪肝、月経異常及び妊娠合併症、 肥満関連腎臓病
脂肪細胞の量的異常により起こる疾患
睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、整形外科的疾患