世界睡眠デー 「良い睡眠」で食事や運動も良くなる 睡眠を改善する5つの方法
2023年03月27日
3月17日は「世界睡眠デー」だった。
理想的な睡眠をとれていれば、それだけより健康に長生きできる可能性が高くなるという研究が発表された。
良い睡眠をとることで、食事や運動などの生活スタイルも改善しやすくなることも分かっている。
「睡眠を改善する5つの方法」もご紹介する。
「良い睡眠習慣」の5つの基準とは
3月17日は世界睡眠学会(WSS)が提唱する「世界睡眠デー」だった。睡眠ついての医学の促進や、知識の拡大、教育の促進などが世界規模で展開された。 質の良い睡眠をとることが、健康の全体的なサポートで重要な役割を果たし、寿命を延ばすことにもつながることが、米国心臓病学会(ACC)が発表した新しい研究で明らかになった。 「良い睡眠習慣」を身につけている人ほど、早期死亡のリスクが低く健康で、逆に、良い睡眠をとれていないことは、脳卒中や心臓病、がんなどの全死亡のリスクの8%の原因になっている可能性があるという。 「良い睡眠習慣」の基準は、(1) 1晩の睡眠時間が7~8時間、(2) 入眠困難は週に2日以下、(3) よく眠れない夜は週に2日以下、(4) 睡眠薬を使用していない、(5) 起床したときに「十分に休息をとれた」と感じることが週に5日以上――の5項目。良い睡眠をとれている人は寿命が長い
「理想的な睡眠をとれていれば、それだけより健康に長生きできる可能性が高くなります。睡眠を改善するための対策は、若いうちから始めると効果が高いことも分かりました」と、ベス イスラエル ディーコネス医療センターのフランク チェン氏は言う。 研究グループは、米国で実施されている大規模研究「国民健康インタビュー調査」に参加した、平均年齢50歳の17万2,321人を対象に、睡眠行動について調査した。 その結果、睡眠スコアがもっとも高い人は、もっとも低い人に比べ、何らかの理由で死亡するリスクは30%低く、心血管疾患で死亡するリスクは21%低く、がんで死亡するリスクは19%低く、心臓病やがん以外の認知症などで死亡するリスクは40%低かった。 さらに、睡眠スコアがもっとも高い人は、平均余命が男性で4.7年、女性で2.4年長いことも分かった。 「睡眠時間を十分に確保するだけでは十分ではないことに、注意する必要があります。睡眠の質を高めるための工夫も必要です」と、チェン氏は指摘している。良い睡眠をとれていると体重・脂質・血糖・血圧が良好
睡眠障害があると糖尿病や心臓病のリスクが上昇
南オーストラリア大学による別の研究では、良い睡眠をとれていない人は、2型糖尿病のリスクが高く、心臓の血管の健康を低下させる可能性のある、体重・コレステロール・炎症マーカーなどの因子も悪化しやすいことが示されている。 「睡眠が重要であることは誰もが知っていますが、毎日の睡眠時間だけを気にしている人が多いのです」と、同大学看護学部のリサ マトリチアーニ氏は言う。 「私たちが夜に、どれだけぐっすりと眠っているか、いつ就寝していつ起床するか、さらには睡眠習慣がどれだけ規則的であるかといったことも、睡眠時間と同じくらい重要とみられます」としている。 研究グループは、年齢の中央値が44.8歳のオーストラリア人1,017人を対象に調査し、睡眠の悩みを抱えていたり、解決できていないと報告した人は、2型糖尿病や心血管代謝のリスクが上昇していることを明らかにした。睡眠を改善する5つの方法
睡眠障害や社会的時差ぼけなど、睡眠の質を下げる要因について研究しているピッツバーグ大学医学部によると、次のことを実行すると睡眠を改善しやすい。
■ 快眠はまずは規則正しい生活から
規則正しい生活によって、体内時計がホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えて準備してくれる。体内時計を整え、体を睡眠に導くために、毎日同じ時刻に就眠・起床をすると効果的だ。
■ 夜遅い時間に食事しない
体内時計を整えるために規則正しい食事が望ましい。食事で摂取した食べ物が消化・吸収されるまでに2~3時間が必要となる。夜遅い時間に夕食をとると、胃の消化活動が活発になり、大脳皮質や肝臓の働きが活性化し、結果として睡眠が妨げられる。
■ 適度な運動が良い睡眠をもたらす
日中に体をアクティブに動かし運動する習慣のある人は、質の良い睡眠を得られるという調査結果がある。ウォーキングなどの活発な運動を、1日30分行うことを目標にする。運動の習慣化は、睡眠の質を高めるだけでなく、肥満や2型糖尿病の改善・予防にもつながる。
■ 入浴して深部体温を上げる
寝る少し前に体の奥の体温である「深部体温」をいったん上げると、その後に下がって、眠りに入りやすくなる。就寝1~2時間前に入浴すると、その後に睡眠に入りやすくなる。
■ 光で体内時計を整える
朝に太陽光を浴びると体内時計が24時間周期にリセットされる。起きたらまずカーテンを開けて、自然の光を部屋の中に取り込むと効果的だ。
反対に夜に強い光を浴びると睡眠が妨げられる。夜の光には体内時計を遅らせる作用があり、時刻が遅くなるほどその力は強まる。
スマートフォンやパソコンの画面にも注意が必要だ。スマートフォンなどの画面に含まれるバックライトには波長の短いブルーライトが含まれており、体内時計に影響を与えやすい。寝る前にはスマートフォンなどを操作しないようにしよう。
世界睡眠デー (世界睡眠学会)
Getting Good Sleep Could Add Years to Your Life: Having five low-risk sleep habits may have long-term benefits (米国心臓病学会 2023年2月23日)
A good night's sleep may make it easier to stick to exercise and diet goals, study found (米国心臓学会 2023年3月3日)
Trouble sleeping? You could be at risk of type 2 diabetes (南オーストラリア大学 2022年12月2日)
Multidimensional Sleep and Cardiometabolic Risk Factors for Type 2 Diabetes: Examining Self-Report and Objective Dimensions of Sleep (Science of Diabetes Self-Management and Care 2022年12月2日)
The Social Jet Lag Study (ピッツバーグ大学)
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- 野菜摂取量の平均値は、256.0g(男性262.2g、女性250.6g)。野菜摂取量は有意に減少 令和5年(2023)「国民健康・栄養調査」結果より
- 糖尿病が強く疑われる人は、男性16.8%、女性8.9% 令和5年(2023) 「国民健康・栄養調査」の結果より
- 肥満の人は、男性31.5%、女性21.1%。やせの人は、男性4.4%、女性12.0%(20歳代女性20.2%) 令和5年(2023)「国民健康・栄養調査」の結果より
- 特定健診(40~74歳)受診者約3,017万人のうち、メタボリックシンドローム該当者は16.6%(男性13.3%、女性3.2%)、予備群該当者は、12.3%(男性 9.7%、女性2.6%) 令和4年(2022)「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」の結果より
- メタボリックシンドロームが強く疑われる人は、男性 4.3%、女性11.3%。予備群の人は、男性 4.3%、女性11.3% 令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」の結果より