肥満や糖尿病に子供のうちから対策 「朝食欠食」のある子供は肥満リスクが上昇 足立区の対策
2023年05月29日
朝食を食べない習慣のある子供は、糖尿病リスクが高い傾向があることが、東京都足立区内の中学生を対象とした研究で示された。
区では「糖尿病対策アクションプラン」を実施しており、▼野菜を食べること、野菜から食べること(ベジ・ファースト)を推進、▼野菜から食べるなどの良い生活習慣の定着を乳幼児期から推進、▼糖尿病を重症化させない取り組みを推進の3点に力を入れている。
食事を野菜から食べる「ベジ・ファースト」が浸透してきて、実行している子供は肥満リスクが低いことなどが示されている。
朝食欠食の習慣は子供のうちからはじまっている
忙しい毎日を過ごしている現代人のなかには、朝食を食べずに済ませ、昼食まで空腹でいるという人が少なくない。朝食を摂らないことは、その後の食事後の血糖値の上昇につながりやすい。 朝食を食べない成人は、体重が増えやすく、肥満になる危険性が大きく、2型糖尿病のリスクも高いことが知られている。朝食欠食は、筋肉も萎縮させ、ロコモやサルコペニアの危険性も増大させるという報告もある。 ほぼ24時間の周期で体のリズムを刻んでいる体内時計は、食事のタイミングによっても調整されていることが分かってきた。朝食をしっかり摂る習慣は、体内時計を正常化させ、太りにくい体質をつくり、肥満や2型糖尿病を改善・予防するのに効果的とみられている。 朝食欠食の習慣は、子供のうちからはじまっている。朝食をとる習慣のない子供が成長すると、肥満や糖尿病予備群になるリスクが高まるおそれがあるという報告も発表されている。朝食を食べない子供は糖尿病リスクが高い
朝食を食べない子供は、2型糖尿病のリスクが高いことが、東京都足立区内の中学校の生徒を対象とした研究で示された。 東京医科歯科大学の研究グループは、足立区の小中学生を対象に実施している子供の健康・生活実態調査「A-CHILD Study」の中学生のデータを用いて、朝食欠食と糖尿病予備群のリスクとの関連を調べた。 対象となったのは、2016年と2018年の調査に回答した、1,510人の中学校2年生。1~2ヵ月の血糖値の平均が反映されるHbA1cの値が5.6~6.4%の子供を「前糖尿病(糖尿病予備群)」と判定した。 その結果、朝食を抜く習慣のある生徒は16.4%で、前糖尿病の有病率は3.8%だった。糖尿病前症の有病率は、朝食を毎日食べている生徒では3.5%、朝食を欠食している生徒では5.6%で、朝食を食べない習慣のある子供は、前糖尿病のリスクが2倍近くに上昇することが示された。 また、体格指数(BMI)の高い過体重の子供では、この関連はとくに高く、前糖尿病のリスクは4倍以上に上昇した。太っていない子供では、こうした関連はみられなかった。 研究は、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男教授らによるもの。研究成果は、「Frontiers in Endocrinology」に掲載された。 朝食欠食と肥満や糖尿病予備群との関連は、成人対象の研究では報告されているが、これまで子供についての研究は少なかった。 「日本人の子供や若者、とくに過体重の子供が朝食を食べない習慣は、前糖尿病と関連していました。朝食を食べない習慣をなくすことを奨励すると、糖尿病の予防に役立つ可能性があります」と、研究者は述べている。食事を野菜から食べる「ベジ・ファースト」を奨励
ベジ・ファーストが浸透 「子どもの健康・生活実態調査」を実施
東京都足立区の糖尿病対策
出典:足立区こころとからだの健康づくり課
Association between skipping breakfast and prediabetes among adolescence in Japan: Results from A-CHILD study (Frontiers in Endocrinology 2023年2月22日) 【足立区は糖尿病対策を推進します】もっと笑顔、もっと長寿 あだち元気プロジェクト (東京都足立区)
子どもの健康・生活実態調査 (東京都足立区)
足立区の糖尿病対策
やっぱりベジ・ファーストはすごかった! (足立区 2016年8月12日)
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