特定保健指導は効果があった! 肥満指標はわずかに改善 582万人のデータを解析
2023年01月26日
特定健診で保健指導対象となり、指導を受けた男女では、肥満指標がわずかに改善されたことを、関西大学が明らかにした。血圧、HbA1c、中性脂肪値でも、短期的な改善がみられた。
関西大学は、厚生労働省より提供を受けた「匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データ(ナショナルデータベース)」より、2014年に特定健診を受診した約582万人のデータを分析した。
日本独自の予防政策である特定保健指導の効果を検証
関西大学は、特定健診で保健指導対象と指摘された人をそうでない人を比較し、男女ともに肥満指標がわずかに改善されたことを明らかにした。また、血圧、HbA1c、空腹時血糖、中性脂肪にも、短期的な改善がみられた。 生活習慣病である高血圧、2型糖尿病、脂質異常症は、増加の一途をたどっている。これらの疾患に罹患し動脈硬化が進行すると、循環器疾患の発症リスクが増大する。国民医療費や要介護を抑制するために、生活習慣病の早期の予防と治療が不可欠となっている。 特定健康診査(特定健診)および特定保健指導は、全国規模で実施されている、海外では類をみない日本独自の予防政策だ。 特定健診・保健指導で収集したデータは、厚生労働省で蓄積され、匿名化された「匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データ(ナショナルデータベース;NDB)」として研究利用されている。 研究グループは、このNDBを用いて、特定健診・保健指導により、その後の腹囲・体重などの肥満指標や心血管リスク、生活習慣に改善がみられるかを縦断的に検討した。 データ分析に際しては、準実験的手法のひとつである、回帰不連続デザインを採用した。保健指導により1年間で肥満指標・心血管リスクはわずかに改善
特定保健指導により、肥満指標・心血管リスクでは改善がみられたが、効果は経年的には減衰した 20230105-4.jpg 出典:関西大学、2022年 対象となったのは、2014年に特定健診を受診した581万9,041人(男性:349万112人、女性:232万8,929人)。 このうち、保健指導対象と指摘された人では、1年間で肥満指標がわずかに減少した。ただし、これらの効果は、時間の経過とともに減衰した。
特定健診で保健指導を受けた男女では、肥満指標がわずかに改善
NDBより2014年に特定健診を受診した581万9,041人のデータを解析
NDBより2014年に特定健診を受診した581万9,041人のデータを解析
男性 | 女性 | |
---|---|---|
腹囲 | -0.27cm (95%信頼区間 [CI] -0.29~-0.26) | -0.34cm (同 -0.41~-0.27) |
体格指数 | -0.07kg/m² (同 -0.075~-0.066) | -0.11kg/m² (同 -0.13~-0.10) |
体重 | -0.21kg (同 -0.22~-0.19) | -0.28kg (同 -0.32~-0.24)) |
腹囲 | -5.0cm (95%CI -5.3~-4.6) | -5.7cm (-7.0~-4.4) |
---|---|---|
体格指数 | -1.3kg/m² (-1.4~-1.2) | -1.9kg/m² (-2.1~-1.6) |
体重 | -3.8kg (-4.0~-3.5) | -4.7kg (-5.3~-4.0)) |
Impact of a national screening programme on obesity and cardiovascular risk factors (European Journal of Preventive Cardiology 2022年11月30日)
[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]
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- メタボリックシンドロームが強く疑われる人は、男性 4.3%、女性11.3%。予備群の人は、男性 4.3%、女性11.3% 令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」の結果より
- 肥満の人は、男性 31.7%、女性21.0%。やせの人は、男性 4.3%、女性11.3%(20 歳代女性19.1%) 令和4年(2022)「国民健康・栄養調査」の結果より
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~第二次最終報告書と年次推移を図解~
Part 1 メタボリックシンドローム、糖尿病、脳・心血管疾患の目標達成率 - 最新の患者調査(厚生労働省)より、国民の健康状態について分析