【気候変動は健康にも影響】猛暑により生活習慣や健康状態に変化 運動不足に
2024年10月29日
人間活動による温室効果ガスの増加などにより、地球全体の気温が上昇している。
気候変動にともない猛暑が増え、日常生活に大きな影響を及ぼし、人々が屋外にいる時間を減らしたり、交通手段を変えたりする原因になっていることが調査で明らかになった。
日本の調査でも、猛暑により「生活習慣や健康状態に変化が出た」という人が多いという結果が出ている。
「外出頻度が減った」「運動の回数が減った」「人と会う機会が減った」と感じている人が多く、「運動不足を感じるようになった」という人は半数以上に上った。
猛暑が日常生活に大きく影響 屋外にいる時間が減少 活動は涼しい時間帯に
猛暑が日常生活に大きな影響を及ぼし、人々が屋外にいる時間を減らしたり、交通手段を変えたりする原因になっていることが、アリゾナ州立大学などが米国の11の大都市圏に焦点をあて、米国時間利用調査(ATUS)のデータと米国海洋大気庁(NOAA)の気象データを解析した研究で明らかになった。 猛暑日には、人々は屋内にとどまり、屋外での活動を減らし、不要不急の移動を避ける傾向があり、とくに気温が急上昇した日はレジャー、買い物、人との交流のための移動が大幅に減少することが示された。さらに、多くの人が真昼の暑さを避けるために、早朝や夕方遅くなどの涼しい時間帯を選んで活動する傾向もみられた。 研究は、アリゾナ州立大学持続可能工学・建築環境学部のラム ペンディヤラ教授らが、ワシントン大学、テキサス大学などと共同で行ったもの。猛暑の日には公共交通機関による移動が減少 自動車の使用が増加
「猛暑の状況下では、交通や移動の手段の選択が明らかに変化していることが示されました。自動車の使用は増加し、徒歩、自転車、公共交通機関による移動は大幅に減少しています」と、ペンディヤラ教授は言う。 「平均すると、猛暑の日には公共交通機関による移動は50%近く減少していました。多くの人は、がエアコン付きの自家用車で涼を求めたとみられます」としている。 都市の一部の人は、猛暑の悪影響にとくに脆弱であることも判明した。低所得者や車を所有していない人は、徒歩や公共交通機関に頼る傾向が高く、危険な気温にさらされる頻度が高いという。 また、そうした人々は働く時間と場所に関して柔軟性が低い傾向があり、そのため気温の高い厳しいときでも、屋外に出て移動する必要がある。暑さ対策を取り入れた都市設計や政策が必要
「増大する気候変動の問題に対応できる政策ソリューションを提供するために、気温上昇が人々の日常の活動や移動手段の選択にどのように影響しているかを理解することが重要です」と、ペンディヤラ教授は指摘する。 日陰のある公共スペースの整備、猛暑日のアラート発信、より暑さに強い都市を作るため、熱緩和戦略を取り入れた都市設計など、暑さ対策のための政策が必要としている。猛暑により生活習慣や健康状態に変化が
半数以上が「運動不足」に
日本の調査でも、猛暑により「生活習慣や健康状態に変化が出た」という人が多いという結果が出ている。
「外出頻度が減った」「運動の回数が減った」「人と会う機会が減った」と感じている人が多く、「運動不足を感じるようになった」という人は半数以上に上った。
調査は、オムロン ヘルスケアが、20~70代の600人を対象に実施したもの。それによると、7割以上の人が最近の猛暑によって「変化が出た」と回答し、生活習慣の変化は「外出頻度が減った」(66.8%)、「運動の回数が減った」(39.7%)、「人と会う機会が減った」(33.4%)が多かった。
さらに、自身の健康状態の変化として感じていることは、「運動不足」(53.1%)、「精神的なストレス」(40.4%)、「体重、体脂肪率の増加」「肩こり」(20.9%)、「腰痛」(17.2%)が多かった。
生活習慣や健康状態に影響していると思うことは、「外出控え」(59.4%)、「気力の低下」(40.8%)、「睡眠不足」(30.4%)が多かった。
「これらのことから、活動量や人との接触頻度の低下などの生活習慣の変化が心身の健康状態に影響を及ぼしていることが浮き彫りになりました」と、同社では述べている。
半数以上が「運動不足」に
猛暑により健康状態が変化 運動不足を実感している人や精神的なストレスを感じている人が4割
出典:オムロン ヘルスケア、2024年
Understanding how extreme heat impacts human activity-mobility and time use patterns (Transportation Research Part D: Transport and Environment 2024年11月) オムロン ヘルスケア 公式サイト
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