アイマスクをつけて寝ると効果はある? 夜は暗くして昼寝にもご注意 肥満・高血圧を予防

 夜にアイマスクを着用して眠ると、睡眠の質が良くなり、昼間の注意力などが高まりやすいことが明らかになった。

 「認知能力の向上を望むのなら、まずは夜に眠るときは電気を消すことからはじめましょう」と、研究者は述べている。

 また、昼寝の時間が長すぎる人は、肥満・高血圧・糖尿病のリスクが高いという調査結果も発表されている。

 「昼寝をとるときは15~20分くらいにして、30分を超えないようにすると効果的です」とアドバイスしている。

アイマスクをつけて眠ると注意力が高まる

 夜にアイマスクを着用して眠ると、睡眠の質が良くなり、昼間に注意力が高まり、学習能力も向上しやすいことが、米ハーバード大学や英カーディフ大学などによる研究で明らかになった。

 研究グループは、18~35歳の男女90人を対象に、夜間にアイマスクを着用して眠るのと、光を浴びながら眠るのを交互に繰り返してもらい、睡眠パターンを調べた。

 その結果、アイマスクを着用して眠った場合は、集中や覚醒度を示す「精神運動覚醒」と、新しい連想でどれだけ効果的に学習できるかを示す「連合学習」が、それぞれ改善することが分かった。

夜は室内を暗くすると体内時計を調整しやすい

 体には、おおよそ1日の周期で働く「体内時計」がそなわっていて、1日の周期をもつリズムは「概日リズム」と呼ばれている。

 いつ目覚めるか、いつ眠くなるかといった、1日の覚醒・睡眠のリズムは、自律神経による体温調整や、ホルモン分泌、免疫・代謝などと同様に、体内時計によって調節されている。

 「昼間に明るい太陽光を浴び、夜は室内を暗くすることは、体内時計を調整するうえでもっとも重要な要素です」と、ハーバード大学で健康心理学・行動医学を研究しているエリック ジョウ氏は言う。

 「ニューヨークのタイムズスクエアに行ったことのある人は知っているかもしれませんが、わずか数ワットの電灯であっても、脳は夜中でも昼間だと錯覚してしまいます」。

 「体内時計の周期と24時間の周期とのあいだにズレがある状態が続くと、概日リズムが乱れ、望ましい時刻に入眠したり、覚醒することができなくなってしまいます」としている。

夜に眠るときに電気を消すことからはじめよう

 夜には、睡眠に備えるために体に自然なプロセスが起こり、松果体は暗闇に反応して睡眠ホルモンであるメラトニンを生成する。このホルモンは、睡眠の概日リズムを調節するのに不可欠だ。

 夜間に光にさらされると、メラトニンの生成が抑制され、睡眠パターンが狂いやすくなる。夜間に街灯などの屋外の人工光を浴びることは、睡眠時間が短くなることと関連している。

 常夜灯なしで眠る場合と比べ、常夜灯のそばで眠った成人は眠りが浅くなり、頻繁に目が覚める傾向があることが報告されている。

 ジョウ氏によると、夜にベッドで動画を見るためにタブレットを使用したときの影響は、満月のときに屋外にいるときの100倍になり、夜間にコンピューターの画面を見たり作業したときの影響は、明るい駐車場に立っているとき10倍になるという。

 「夜間に光を浴びることによる影響は睡眠だけにとどまりません。うつ症状、肥満、糖尿病、高血圧のリスクの増加にも関連しています」と、ジョウ氏は言う。

 「光への曝露による概日リズムの乱れ、つまり日中は暗くし、夜は明るくすることにより、健康リスクは高まると考えられます」。

 「まずは夜に眠るときは、電気を消すことからはじめましょう。夜は携帯電話などの電子機器の利用を減らし、不要な照明は消しておき、さらに日中はできるだけ太陽光を浴びるようにすることをお勧めします」としている。

昼寝をとるときは15~20分くらいに
肥満・高血圧・糖尿病のリスクが上昇
生活が夜型になっている人は要注意

 昼寝は身体や脳の疲労をとるための効果的な習慣になるが、昼寝の時間の長すぎる人は、肥満・高血圧・糖尿病のリスクが高いという調査結果も発表されている。

 研究は、米ブリガム アンド ウィメンズ病院によるもの。「昼寝をとるときは15~20分くらいにして、30分を超えないようにすると効果的です」と、同病院の睡眠・概日リズム障害部門のマルタ ガローレット氏は言う。

 研究グループは、スペインなどの地中海地域の住民を対象に、生活スタイルと肥満や認知症などとの関連を調査している「ONTIME」研究に参加した3,275人以上の成人を調査した。

 その結果、昼寝を1日に30分以上とっている人では、そうでない人に比べ、体格指数(BMI)やウエスト周囲径が高く、空腹時血糖値、収縮期(最高)血圧、拡張期(最低)血圧の値がそれぞれ高い割合が多く、メタボに該当する人が多い傾向があることが示された。

 一方、「パワーナップ」として知られる、15~20分程度の短い昼寝をとっている人は、肥満や代謝のリスクの上昇はみられず、まったく昼寝をとらない人に比べ、むしろ血圧値が下がるなどの好ましい変化がみられた。

 また、夜に食事をとったり、就眠する時間が遅かったり、昼食で食べすぎておりエネルギー摂取量の多い人では、昼寝時間が長いと肥満になりやすいことなども分かった。

 「とくに夜に食事や睡眠をとる時間が遅く、生活スタイルが夜型になっている人や、タバコを吸う習慣のある人は、昼寝のとりかたに注意した方が良いかもしれません」と、ガローレット氏は述べている。

 「昼寝をどのようにとると高いベネフィットを得られるかを解明するために、より多くの研究が必要です」としている。

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