男性が育児に参加するとアルコール関連の健康障害が減る 若者も飲酒を続けると脳卒中リスクが上昇

 育児に参加している男性は、アルコール関連の健康障害のリスクが大幅に低いことが、22万人超の男性を対象とした大規模な調査で明らかになった。

 育児休業をとった男性は、アルコール関連の疾病のリスクが減少し、アルコール関連の入院は、子供の生後2年までに34%減少した。

 中程度から多量のアルコール摂取を続けると、20代~30代の若い人も、脳卒中を発症するリスクが上昇することも示された。

育児に参加している男性はアルコール関連の健康障害のリスクが低い

 育児に参加している男性は、アルコール関連の健康障害のリスクが大幅に低いことが、スウェーデンのストックホルム大学の研究で明らかになった。

 「育児休業をとっている男性は、アルコールの過剰摂取による入院リスクが大幅に低いことが分かりました。育児休業をとることが、ストレス軽減や行動変容につながり、健康増進につながると考えられます」と、同大学公衆衛生学部のヘレナ ホンカニエミ氏は言う。

 「父親となった男性が、育児休業を活用することは、男女共同参画を促すだけでなく、アルコール関連の健康障害の予防にもつながる可能性があります」としている。

 研究グループは、スウェーデンで1995年に開始された育児休業に関する政策の効果を検証するため、1992年~1997年に生まれた男性22万412人を対象に調査した。

 この政策は、子供が8歳になるまでに両親合わせて最大480日間の育児休業をとることを奨励するもので、男性も60日分の休暇をとれる。これにより男性の育児休業の取得率は43%から75%に増加した。

 調査の結果、この政策が開始された後では、育児休業をとった男性ではアルコール関連の疾病のリスクが減少し、アルコール関連の入院は、子供の生後2年までに34%減少し、その影響は子供の生後18年後まで続くことが明らかになった。

 「男性の育児休業の取得の影響で、アルコール中毒とアルコール関連の精神・行動障害による入院が減少したとみられます。男女平等の育児参加やワークライフバランスを促進することは、アルコールによる健康障害を減らすことにもつながります」と、同学部のソル フアレス氏は指摘している。

20代~30代の若者が飲酒を続けると脳卒中のリスクが上昇

 米国神経学会(AAN)が発表した別の研究では、中程度から多量のアルコール摂取を続けると、20代~30代の若い人も、脳卒中を発症するリスクが上昇することが示された。脳卒中のリスクは、飲酒の期間が長いほど上昇するという。

 「若者の脳卒中の発症は、韓国でも過去数十年で増加しており、死亡や深刻な障害の原因になっています」と、ソウル大学内科学のウイングン チェ氏は言う。

 「脳卒中による負担の90%以上は、アルコール摂取を含む、改善が可能な危険因子によるものと考えられます」。

 「若者のアルコールの過剰摂取を減らすことが、脳卒中予防のための戦略となり、個人と社会の両方に利益をもたらします。飲酒習慣のある若者を対象とした保健指導の実施も必要です」としている。

 研究グループは、韓国国民健康データベースの記録をもとに、健康診断を受けた20代~30代の若者を平均して6年間追跡して調査した。

 純アルコール換算で週に105g以上飲んでいる人を、中程度あるいは多量の飲酒とした。標準的なアルコール飲料は、1杯に約14gのアルコールが含まれており、これはビール340g、ワイン142g、リキュール43gに相当する。

 その結果、中程度あるいは多量の飲酒を2年間続けている若者は、あまり飲まない若者に比べ、脳卒中の発症リスクが20%高いことが分かった。

 脳卒中のリスクは、飲酒を続けた期間が長いほど上昇し、2年間続けた人では19%、3年間続けた人では22%、4年間続けた人では23%、それぞれ増加した。

育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト (厚生労働省)

Fathers' parental leave might protect men against alcohol-related morbidity (ストックホルム大学 2023年10月6日)
Alcohol-related morbidity and mortality by fathers' parental leave: A quasi-experimental study in Sweden (Addiction 2023年10月5日)
In Young Adults, Moderate To Heavy Drinking Linked To Higher Risk Of Stroke (米国神経学会 2022年11月2日)
Cumulative Alcohol Consumption Burden and the Risk of Stroke in Young Adults: A Nationwide Population-Based Study (Neurology 2023年1月31日)