「生活にゆとりのない」家庭は食育に関心がない 子供の孤食や栄養バランス不足に親の生活習慣病が影響
2019年06月12日
富山大学は、食育に関する新たな調査結果を発表した。「生活にゆとりのない」家庭の親は食育に関心がない傾向があり、とくに母親の生活習慣が「悪い」と、親が食育に関心がなく、栄養バランスを考えない傾向にあり、子供の孤食も多いことなどが示された。
また、子供のメディア利用時間が長いほど、朝食の欠食や間食が増える傾向があることも分かった。
また、子供のメディア利用時間が長いほど、朝食の欠食や間食が増える傾向があることも分かった。
親の生活習慣が悪いと、栄養バランスを考えなく、子供の孤食も多い
研究は、富山大学地域連携推進機構地域医療・保健支援部門が、富山県教育委員会との連携事業として実施された文部科学省スーパー食育スクール事業の追加調査として実施したもの。研究成果は「Journal of Epidemiology」に掲載された。
研究グループは、家庭の社会経済環境、親子の生活習慣などに関するアンケート調査を、高岡市内の5つの小学校に通う1年生~6年生までの全児童2,129人を対象に、2016年1月に実施した。回収数は1,986人(回収率:93.3%)、有効回答数は1,632人だった。
その結果、次のことが明らかになった――。
「生活のゆとりがない」と回答した家庭は、「ゆとりがある」と回答した家庭と比較して、親が食育に関心がなく、栄養バランスを考えない傾向があった。また、子供が野菜をあまり食べない傾向があった。
年齢や性別等の他の要因を考慮した統計分析の結果、「ゆとりがある」家庭を基準とした場合の「ゆとりがない」家庭の望ましくない習慣に対するオッズ比(リスク指標)は、「食育に関心なし」で1.46、「栄養バランスを考えない」で1.52、「野菜を食べない」で1.52だった。 (2)親の生活習慣が悪いと、親が食育に関心がなく、栄養バランスを考えない傾向にあり、子供の孤食も多い
「ブレズローの7つの生活習慣」の当てはまる項目が0~3個の場合を生活習慣が「悪い」、4~5個の場合を「普通」、6~7個の場合を「良い」として、子供の食習慣との関係を評価した。
その結果、親の生活習慣が悪いと、親は食育に関心がなく、栄養バランスを考えなく、子供の孤食も多かった。
年齢や性別等の他の要因を考慮した統計分析の結果、父親の生活習慣が「良い」家庭を基準とした「悪い」家庭の望ましくない習慣に対するオッズ比は、親が「食育に関心ない」で1.53、「栄養バランスを考えない」で1.47、子供が「朝食を1人で食べる」で1.47だった。
また、同じく母親の生活習慣が「良い」家庭を基準とした「悪い」家庭の望ましくない習慣に対するオッズ比は、親が「食育に関心ない」で2.95、「栄養バランスを考えない」で3.86、「朝食を1人で食べる」で2.42だった。 「ブレズローの7つの生活習慣」は、(1)適切な睡眠時間(7~8時間)をとる、(2)喫煙をしない、(3)適正体重を維持する、(4)過度の飲酒をしない、(5)定期的な運動を行う、(6)朝食を毎朝食べる、(7)間食をしない――という7つの生活習慣から構成され、当てはまる項目が多いほど生活習慣が良いと判断される。 (3)子供のメディア利用時間が長いほど、子供は朝食を欠食し、野菜を食べず、1日2回以上間食をする
さらに、子供のメディア利用時間が長くなるほど、朝食を欠食し、野菜をあまり食べず、1日2回以上間食するなど、望ましくない食習慣が増える傾向がみられた。
年齢や性別などの他の要因を考慮し分析した結果、メディアの利用時間が「1時間未満」の子供と比較した場合の、「2時間以上」の子供の望ましくない習慣に対するオッズ比は、「朝食を欠食する」で2.75、「野菜を食べない」で2.68、「1日2回以上間食をする」で4.16だった。
子供だけではなく、親に対する健康教育も必要
Relationship Between Parental Lifestyle and Dietary Habits of Children: A Cross-Sectional Study(Journal of Epidemiology 2019年6月1日)
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