中高年の6割が睡眠の悩みをもっている 不眠が生活習慣病リスクに

 40代から70代の男女の6割に何らかの睡眠の悩みをもっているが、半数は医師に相談していないという調査結果が発表された。
6割が不眠で悩んでいる 最大の原因は「不安や緊張、ストレス」
 製薬企業のMSDは、全国の40代から70代の男女8,000名を対象に、不眠に関する意識と実態を明らかにするためのインターネット調査を実施し、その結果を発表した。

 不眠の症状は主に、なかなか寝付けない「入眠困難」、夜中に目が覚め、その後なかなか眠れない、あるいは夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」、朝早すぎる時間に目が覚める「早朝覚醒」の3つに分類されている。

 今回の調査では、過去1ヵ月の睡眠状態について週1回以上該当する症状があるかを聞いたところ、約4割は「不眠症状なし」(38.0%)と回答し、残りの6割にも何らかの不眠症状があることが判明した。

 中でも"睡眠維持力の低下"による不眠(中途覚醒、早朝覚醒いずれか、または両方を有する)が55.0%に上り、中年以上の不眠では、不眠=寝つきが悪いだけではないことが分かった。さらに、「入眠困難」「早朝覚醒」「中途覚醒」の3つの症状全てを抱える人が18.1%と、40代以上の約5人に1人が該当することが示された。

 不眠症状がひとつでもあると答えた人に、眠りたいのに眠れない原因について聞くと、「不安や興奮、緊張やストレス、考え事などで眠れない」(50.8%)がもっとも多く、「日中、十分に活動していないため疲れておらず、眠れない」(17.6%)や「生活のリズムが不規則で眠れない」(15.7%)を大きく上回った。

 また、医師から不眠症と診断され、不眠症治療薬を飲んでいる571人を対象に、その薬を服用しても不眠症状があるかと聞いたところ、6割近くの人が「症状がある」(56.0%)と回答。不眠症治療薬には従来の「GABA受容体作動薬」に加え、「メラトニン受容体作動薬」や「オレキシン受容体拮抗薬」があるが、「入眠困難」や「中途覚醒」、「早朝覚醒」を起こしている人の4割が、超短時間作用型GABA受容体作動薬を服用していることが分かった。
不眠を治療しないと生活習慣病のリスクが上昇
 さらに、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と不眠症の関連を聞いたところ、生活習慣病患者の半数以上(54.3%)が、不眠症と診断されているか、国際基準「アテネ不眠尺度(AIS)」で不眠症の疑いがあると判定されるという結果になった。一方、生活習慣病と診断されておらず、通院も処方薬の服用もしていない人では、不眠症または不眠症の疑いがある人は44.4%にとどまった。

 生活習慣病患者で、かつ、不眠症の疑いあり人に不眠に対する悩みを聞いたところ、「悩みはあるが、医師に相談したことはない」(46.8%)という回答がもっとも多く、医療機関へ相談していない人が約半数いることが分かった。

 この調査について、伊藤洋・東京慈恵会医科大学葛飾医療センター院長は、「近年の研究では、不眠症と糖尿病や高血圧といった生活習慣病との関係性についても解明されている。眠れないだけだ、と不眠を何とか我慢してやり過ごしていると、次第に生活習慣病をはじめ他の病気のリスクが上昇したり、日中活動すべき時に思い通りに活動できなくなってしまう」と指摘している。

 また、生活習慣病患者の不眠症の疑いのあるあり、医師へ相談していない人では、"薬は一度始めたらやめられなくなる"という回答が6割を超えた。「近年はこうした点を改善した治療薬が登場している。まずは、眠れないというその不眠症状を詳細に、医療機関へ相談してほしい。生活習慣を改善しても眠れない場合には、きちんと休薬・減薬を前提とした不眠症治療薬による治療を考えるべきだ」と、伊藤氏は述べている

快眠ジャパン 不眠症対策サイト~不眠の悩みを解消します~(MSD)