6ヵ月間のダイエット支援で体重減少 運動がリバウンドを防ぐ鍵に

 肥満のある人を対象に行った「減量支援プログラム」で、グループ参加型の「集団型支援」を行うと体重を8kg減らすのに成功するが、2年半後にリバウンドが起こり4kg以上の体重が戻ることが筑波大学の研究で明らかなった。ただし、運動や身体活動の量を増やすと、リバウンドを抑えられるという。

 この研究は、筑波大学医学医療系の中田由夫准教授らによるもの。研究グループは、3ヵ月間で平均8kgの体重減少を目標とする「集団型減量支援プログラム」を開発してきた。しかし、減量に成功しても、その後にリバウンドが起こる例が多く、適正体重の維持は難しい課題となっている。
グループ支援でダイエットを成功に導く
 健康寿命を延ばすために、肥満対策は世界的に大きな課題となっている。日本でも特定保健指導などで、肥満やメタボリックシンドロームへの対策が行われているが、厚生労働省の「2013年国民健康・栄養調査」では、BMIが25以上の「肥満」の人の割合は40歳代で35%と高い水準を保っている

 中田准教授らが開発した「集団型減量支援プログラム」は、(1)動機付け支援講義、(2)教材提供、(3)集団型減量支援の3つの要素で構成されている。

 「動機付け支援講義」は、1回2時間、肥満と減量に関する基礎知識、減量目標値の設定、エネルギー収支バランスなどについて講義し、「教材提供」は、3種類のテキストと食事記録に使うノート、歩数計を提供。「集団型減量支援」は、提供した教材にもとづく1回2時間のグループ支援を6ヵ月間で7回行う内容になっている。

 研究チームは過去の研究で、水戸協同病院(茨城県水戸市)で、40歳以上65歳未満で、BMI(体格指数)が25以上40未満の188人の男女を対象に実証実験を行った。6ヵ月の介入により、プログラムの3つの要素が合わさることで、6ヵ月間で8kgの体重減少を達成できることを確かめた。「支援」を受けた群は、受けなかった群に比べ、体重が平均で3.0kgより減少していた。

リバウンド防止の鍵は運動と身体活動
 今回の研究では、プログラムの参加者を、介入開始の30ヵ月後まで追跡して調査したところ、参加者の体重はリバウンドしており、「支援」を受けた群と受けなかった群の体重の差は18ヵ月後には1.5kgまで縮まり、30ヵ月後にはほとんど差がなくなった。

 なお、両群ともにベースライン時に比べ3.3kg少ない体重を維持していたので、プログラムの有効性そのものは実証された。しかし、集団型減量支援を受けた群でリバウンドが大きく、長期的な体重維持にはつながらないことが示された。

 また、30ヵ月間の体重の減少率の大小によって4つの群に分けた解析したところ、食事量の変化には差がみられなかったのに対し、運動量については差がみられた。

 具体的には、もっとも体重減少率が大きくリバウンドが少なかった群では、ベースライン時からウォーキングの歩数が2,607歩増えており、やや強度の高い身体活動の時間も21分増えていた。

 「運動や身体活動を増やすことが、体重減少を達成し、リバウンドを予防するために必要であることが示された」と研究者は述べている。

 今後は、参加者が自宅で測定した体重と身体活動量のデータをもとに、支援者が定期的にフィードバックのメッセージを送ることで、減量後の体重維持が可能となるかどうかを、27ヵ月間(減量3ヵ月+追跡24ヵ月)のランダム化比較試験によって検証する予定となっている。

筑波大学医学医療系