自然が豊かな環境で生活すると体と心の健康を高められる 都市に自然を身近に感じられる緑地を設置
2024年01月29日
自然が豊かな環境で暮らしている高齢者は、心身の健康状態が良い傾向があるという調査結果を、米ワシントン州立大学が発表した。
緑地の面積がわずか10%増えるだけで、社会生活や勤労などに支障をきたす深刻な心理的苦痛や精神疾患のリスクが軽減され、メンタルヘルスが改善するとしている。
「急速な都市化にともない、自然が豊かな緑地が減ることは、環境に影響を与えているだけでなく、公衆衛生にも影響をもたらしている可能性があります」、同大学医学部のアディシア ベガラジュ氏は言う。
自然にふれることのできない都市生活は、ストレスになり、身体および精神の苦痛を高め、心身の健康をそこなう原因になっているという研究も発表されている。
身近に自然があることが健康全般に大きな影響をもたらす
自然が豊かな環境で暮らしている高齢者は、心身の健康状態が良い傾向があるという調査結果を、米ワシントン州立大学が発表した。 研究グループは、2011年~2019年に、ワシントン州の都市部に住んでいた65歳以上の4万2,980人の高齢者の健康調査のデータを解析した。 居住地の郵便番号と地図から、地域の公園・森林・川・湖などの緑地へのアクセスを定量化し、対象者のメンタルヘルスの状態と関連づけた。 その結果、地域に緑地があることが、メンタルヘルスを含めた健康全般に大きな影響をもたらしていることが分かった。 緑地の面積が10%増えると、深刻な心理的苦痛のある高齢者が12%減り、健康状態の悪い高齢者は11%減ることが示された。自然が心理的苦痛を軽減し主観的幸福を高める
「自然が豊かな環境で暮らすことは、都市に住む高齢者の心理的苦痛を軽減し、主観的幸福を高めることにつながると考えられます」と、ベガラジュ氏は指摘する。 「うつ病・不安症などのメンタルヘルス不調をかかえる高齢者は、医療介入やトークセラピーなどの治療を提供しても、抵抗を示すことがあります。自然にふれることが、そうした個人の治療に役立ち、集団的にもメンタルヘルスを高める方法になる可能性があります」としている。都市計画で自然が豊かな公園緑地などを導入
将来の世代の健康も守るためにも必要
将来の世代の健康も守るためにも必要
Urban green and blue spaces and general and mental health among older adults in Washington state: Analysis of BRFSS data between 2011-2019 (Health & Place 2024年1月)
Finding connections to nature in cities is key to healthy urban living (ワシントン大学 2016年6月3日)
Living in cities, naturally (Science2016年5月20日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。 ©2006-2024 soshinsha. 日本医療・健康情報研究所