週2回の「しっかり歩き」だけで健康増進 今日からウォーキングを習慣に 1日8000歩が目標
2023年04月24日

京都大学などは、週に1~2日だけ歩いただけでも、1日に8,000歩を達成すれば、健康増進の効果をえられることを明らかにした。
1週間に8,000歩以上を歩く日数が多いほど、全死亡と心血管疾患の死亡リスクは低くなるが、週に1~2日だけ歩いただけでも、効果を期待できるという。
仕事などで毎日忙しくて運動の時間をとれないという人や、体力に自信がないという人でも、週に数日のウォーキングの習慣をとりいれることで、健康リスクを低減できる可能性がある。
週に1~2日だけ歩いただけでも健康増進の効果をえられる
京都大学などは、週に1~2日だけ歩いただけでも、1日に8,000歩を達成すれば、健康増進の効果をえられることを明らかにした。 これまでの研究で、1日に8,000歩以上を歩いている人は、死亡率が低くなることが示されている。しかし、週にどれだけウォーキングを行うと、健康への好ましい効果をえられるかはよく分かっていなかった。 研究グループは、米国成人を対象としたコホート研究のデータを用いて、活動量計で測定した歩数の情報から、1日に8,000歩以上歩いた日数が「0日」「1~2日」「3~7日」であった場合の死亡リスクをそれぞれ調べた。 その結果、週に8,000歩以上のウォーキングの日数が多い人ほど、全死亡リスクや、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患による死亡リスクは低くなったが、死亡リスクの減少は、週に1~2日だけで歩いている人でも、週に3日以上歩いている人とほぼ同等であることが明らかになった。空き時間をみつけて、週に数日だけでも、しっかりとしたウォーキングを
全死亡リスクは、週にまったく歩いていない人に比べて、1~2日歩いている人では14.9%、3日以上歩いている人では16.5%、それぞれ低下した。 さらに、心血管死亡のリスクも、週にまったく歩いていない人に比べて、1~2日歩いている人では8.0%、3日以上歩いている人では8.4%、それぞれ低下した。 研究は、京都大学大学院医学研究科の井上浩輔助教(社会疫学)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の津川友介准教授(医療政策学)らの研究グループによるもの。研究成果は、国際学術誌「JAMA Network Open」にオンライン掲載された。 「研究結果は、週に1~2日ぐらいでも、目標歩数を達成することが、健康に十分に良い影響をもたらす可能性があることを示唆するものです」と、研究者は述べている。 「仕事などで毎日忙しくて運動の時間をとれないという人や、体力に自信がないという人でも、空き時間をみつけて、週に数日だけでも、しっかりとしたウォーキングの習慣をとりいれることで、健康リスクを低減できる可能性がある」としている。
週にまったく歩いていない人に比べて、
1~2日歩いている人では、全死亡や心血管死亡のリスクが低下した
1~2日歩いている人では、全死亡や心血管死亡のリスクが低下した

出典:京都大学、2023年
運動不足は現代社会で大きな課題になっている

1日8,000歩以上のしっかりとしたウォーキングが大切
対象となったのは、20歳以上で平均年齢が50.5歳の男女3,101人(女性が51%)。活動量計でカウントした歩数が8,000歩以上になった日が、週に1日もない人は20.4%、1~2日という人は17.2%、3日以上あるという人は62.5%だった。 その結果、週に8,000歩以上を歩いている日数が多い人ほど、全死因と心血管疾患の死亡リスクは低くなったが、週に1~2日しか歩いていない人でも、全死亡や心血管死亡のリスクは大幅に低くなり、8,000歩の目標歩数を週に3日以上達成している人と同様に健康的であることが明らかになった。 また、1日の歩数目標を6,000歩から1万歩に増やしても、同様の結果が示された。 「これらの結果は、定期的に運動するのが難しい場合では、1週間に数日だけでも8,000歩以上歩くことが、健康にとって有意義な影響をもたらすことを示唆しています」と、研究者は述べている。スマホや活動量計を持ち歩いて、毎日の歩数をカウントすれば、目標を達成しやすい
研究を始めるきっかけとなったのは、研究の筆頭著者の井上浩輔氏が内科外来で患者から、「たくさん歩く必要があることは分かりましたが、平日は忙しくてそんなに歩けません。週末にためて歩くのではいけませんか」と尋ねられたことだという。 「近年の研究では、1日の平均歩数を8,000歩以上に維持する重要性が強調されていますが、実際には仕事があったり、糖尿病などの持病があったり、家事や介護、家族の都合などで、毎日の目標を達成できていない人も多くいます」と、研究者は述べている。 「本研究結果は、そのような状況でも、週に数日間だけ歩く習慣を取り入れることで、健康リスクを低減できる可能性があることを示すものです。現代社会の働く世代や高齢者にとって、重要なエビデンスとなることが期待されます」。 「最近では、歩数をカウントできるスマートフォンやウェアラブルデバイスが普及しており、日々の歩数をモニターし、目標を設定することが、運動や身体活動を促進する実践的な方法として応用されています」としている。 研究は、日本医療研究開発機構 (AMED)、日本学術振興会、日本内分泌学会、明治安田厚生事業団、文部科学省による次世代グローバル人材育成事業 (L-INSIGHT)、National Institute of Health (NIH) / National Institute on Minority Health and Health Disparities (NIMHD)、NIH/National Institute of Aging (NIA)の協力を得て行われた。 京都大学大学院医学研究科 社会疫学分野Association of Daily Step Patterns With Mortality in US Adults (JAMA Network Open 2023年3月28日)
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- 特定健診(40~74歳)受診者約3,017万人のうち、メタボリックシンドローム該当者は16.6%(男性13.3%、女性3.2%)、予備群該当者は、12.3%(男性 9.7%、女性2.6%) 令和4年(2022)「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」の結果より
- メタボリックシンドロームが強く疑われる人は、男性 4.3%、女性11.3%。予備群の人は、男性 4.3%、女性11.3% 令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」の結果より