運動が腸内細菌を健康に がんリスクも低下 肥満・メタボの人は運動を
2023年01月26日

ウォーキングなどの運動をすると、腸内細菌叢が健康になり、がんのリスクが減少するという研究が発表された。
運動により心肺機能を改善すると、腸内細菌叢に好ましい変化があらわれ、健康をサポートするのに役立つことも分かった。
肥満やメタボの人は、がんを発症するリスクが高いことが分かっている。腸内細菌を改善しがんを予防するためにも、運動を習慣として行うことが勧められる。
運動は腸内環境も健康にする 大腸がんのリスクも低下
ウォーキングなどの運動を習慣として続けると、腸内細菌叢が健康になり、大腸がんのリスクが低下するという研究を、米国のユタ大学がん研究所が発表した。 人の腸内には500~1,000種類、100兆個と推定される細菌が棲んでいる。この腸内細菌は、健康にさまざまな影響をもたらしており、肥満・糖尿病・心臓病・大腸がん・炎症性腸疾患などとも関係があると考えられている。腸内細菌叢は、多くの種類の腸内菌がいて、多様であるのが好ましい。 「今回の研究で、運動を習慣として行うことは、腸内細菌叢を健康に保つのに役立ち、炎症の軽減にも役立つことを発見しました。体格指数(BMI)に関係なく、過体重や肥満のある人にも、運動は恩恵をもたらします」と、同大学ポピュレーション科学部のキャロライン ヒンバート氏は言う。 「運動を活発に行っている人は、腸内に多様な腸内細菌叢をもっていて、大腸がんの進行を促す細菌の量が少なく、がんから保護する細菌の量が多いことも分かりました」。 「運動による恩恵を得るために、アスリートのように激しい運動をしなければならないわけではありません。日常生活で意識して体を動かすようにして、アクティブでいることを心がけるだけでも、大きな差が出てきます」としている。運動をすると腸の健康が改善 炎症が減りがんリスクも低下
研究グループは、新たに大腸がんと診断された3,500人以上の患者を対象にしたコホート研究「ColoCare研究」に参加した179人の男女を対象に、運動や身体活動の状況を調査し、便サンプルを遺伝子検査し腸内細菌についても調べた。 炎症は大腸がんを引き起こす重要なプロセスであり、体格指数(BMI)が高いほど、体内で炎症が起こりやすいことが分かっている。肥満は、13種類を超えるがんの発症に影響しているという。 大腸がん(結腸がん・直腸がん)は、米国がん協会によると米国で3番目に多いがんで、日本でも患者が増えており、がんによる死亡数では胃がんを抜いて2番目になっている。 「大腸がんを発症した人でも、また過体重や肥満の人も、適度な運動を行うことで、炎症を軽減し、腸の健康を改善し、長生きできる可能性が高まることを、多くの人に知ってもらいたいです」と、同学部のコーネリア ウルリッヒ氏は述べている。 BMI(体格指数)が高い肥満や過体重の人は、がんを発症する確率が高いことが、500万人以上の英国人を対象とした研究でも明らかになっている。 この研究では、22種類のがんのうち17種類で、肥満度をあらわすBMIとがん発症とは関連があることが示された。とくに大腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん、子宮頸がん、腎臓がんなどは肥満の影響を受けやすいという。 米国の運動ガイドラインでは、成人に週に150分の適度な運動をすることを勧めている。活発なウォーキングを1日に20分くらい行うと、運動の推奨量を満たすことができる。運動は腸内細菌の多様性を高め、健康を改善する

心肺機能が高まると腸内細菌の多様性が改善
研究グループは、1年以上前に乳がんの治療を受けた37人の女性を対象に、運動テストに参加してもらい、心肺機能のピーク状態や総エネルギー消費量などを評価し、同日に糞便サンプルにより腸内微生物叢を調査した。 その結果、心肺機能フィットネスの高い参加者は、フィットネスの低い参加者に比べ、腸内細菌叢の多様性が有意に高いことが示された。さらに解析したところ、体脂肪率とは関係なく、心肺機能の適応度が腸内細菌の多様性に影響していることが示された。 一般的にがん治療は、体脂肪率の増加や心肺機能の低下など、心臓代謝の健康に有害な生理学的変化をもたらすことが知られている。 研究グループは、運動強度を変動させると、食事内容が変わらなくとも腸内細菌叢の多様性に影響する可能性があると考え、介入研究を計画しているという。 「運動が腸内細菌叢の機能性にどのように影響するかを明らかにし、運動療法の処方を最適化する方法を模索しています。がんを発症した人でも、がんの発症リスクの高い人でも、運動により健康転帰を向上させることを目指しています」と、カーター氏は述べている。 Moderate exercise helps colorectal cancer patients live longer by reducing inflammation and improving gut bacteria, including in patients who are obese (ユタ大学がん研究所 2022年11月14日)Differences in the gut microbiome by physical activity and BMI among colorectal cancer patients (American Journal of Cancer Research 2022年12月)
Get fit for a fit gut: Exercise might improve health by increasing gut bacterial diversity (欧州生理学会 2019年2月15日)
Gut microbiota diversity is associated with cardiorespiratory fitness in post-primary treatment breast cancer survivors (Experimental Physiology 2019年2月14日)
Overweight and obesity linked to 10 common cancers and over 12,000 cases every year in the UK (ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院 2014年8月14日)
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- 野菜摂取量の平均値は、256.0g(男性262.2g、女性250.6g)。野菜摂取量は有意に減少 令和5年(2023)「国民健康・栄養調査」結果より
- 糖尿病が強く疑われる人は、男性16.8%、女性8.9% 令和5年(2023) 「国民健康・栄養調査」の結果より
- 肥満の人は、男性31.5%、女性21.1%。やせの人は、男性4.4%、女性12.0%(20歳代女性20.2%) 令和5年(2023)「国民健康・栄養調査」の結果より
- 特定健診(40~74歳)受診者約3,017万人のうち、メタボリックシンドローム該当者は16.6%(男性13.3%、女性3.2%)、予備群該当者は、12.3%(男性 9.7%、女性2.6%) 令和4年(2022)「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」の結果より
- メタボリックシンドロームが強く疑われる人は、男性 4.3%、女性11.3%。予備群の人は、男性 4.3%、女性11.3% 令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」の結果より