寝る前のドカ食いはなぜダメ? 肥満や糖尿病のリスクが上昇 夕食は就寝の4時間以上前に

 就寝前に遅い夕食を食べると、体重増加と高血糖が引き起こされやすくなるという研究が発表された。
 糖尿病の人が、夕食での食べ過ぎを抑え、食事スタイルを朝型にすることで、死亡リスクを低下できるという研究も発表されている。
夜型の食事スタイルが肥満やメタボのリスクを上昇
 世界の21億人以上の成人が過体重あるいは肥満だと推定されている。肥満は2型糖尿病や高血圧などのリスクを上昇させる。肥満を解消する効果的な方法が求められている。

 これまでに、1日の後半の夕食などで食事でカロリーを多くとる夜型の食事スタイルは、肥満やメタボリックシンドロームのリスクを高めるという研究が発表されている。逆に、1日の前半の朝食でしっかりと食べる朝型の食事スタイルは、体重が減少しやすく、糖尿病のリスクが低下すること示した報告もある。

 今回の研究では、夕食を就寝する直前の遅い時刻にとると、耐糖能が悪化し、脂肪の燃焼量が減少し、体重が増えやすくなることが分かった。研究の詳細は米国内分泌学会誌に掲載された。

 「カロリーが同じで、同じような食事をしていても、24時間のうちのどのタイミングで食べるかで、代謝にもたらされる影響は異なることが分かりました。体質や就寝時間などの影響もありますが、夜遅い時刻にカロリーの多い食事をとると、多くの人は2型糖尿病や肥満になりやすくなります」と、米国のジョンズ ホプキンズ大学医学部のジョナサン ジュン氏は言う。
就寝1時間前に夕食をとると血糖値のピークが18%上昇
 研究グループは、20人の健康なボランティア(男性10人、女性10人)に、午後6時と午後10時に同じ内容の夕食をとってもらい、代謝への影響がどう変わるかを調べた。参加者全員に夜11時に就寝してもらい、朝7時に起床してもらった。

 参加者に活動量計を着用してもらい、1時間ごとに血液サンプルを採取し、睡眠調査と体脂肪スキャンを受けてもらい、脂肪の燃焼を追跡できるようにする化合物を含む食品を摂取してもらった。

 その結果、午後10時、つまり就寝の1時間前に夕食をとると、就寝の5時間前に夕食をとってもらった場合に比べ、夕食後の血糖値のピークは平均して18%高くなり、1晩で燃焼した脂肪の量は10%減少した。

 「今回の研究は健康な人を対象としたものですが、2型糖尿病や肥満の人は代謝が低下していることが多く、食事や睡眠といった生活リズムの影響をより受けやすい可能性があります」と、ジュン氏は述べている。

 「こうした影響は、食事の直後に眠るという行動が原因なのか、それとも概日リズムへの影響が関わっているか、時間の経過とともに持続するのかといったことは良く分かっていません。さらに研究を続ける必要があります」。
食事スタイルを朝型にすると死亡リスクを低下できる
 糖尿病の人が、夕食での食べ過ぎを抑え、食事スタイルを朝型にすることで、死亡リスクを低下できるという研究も発表されている。

 中国のハルビン医科大学などが4,699人の米国人の糖尿病患者を対象に行った研究で、夕食の総エネルギーの5%を朝食に置き換えると、糖尿病リスクが4%減少し、心血管疾患リスクが5%、それぞれ減少することが明らかになっている。

 「糖尿病の人は、朝食よりも夕食で、カロリー、脂肪、タンパク質を摂り過ぎていると、糖尿病やCVDにより死亡などのリスクが上昇するおそれがあります」と、研究者は述べている。
スナックを食べながら寝てしまうのはNG
 「食事をしてすぐに寝てしまうと、食後に体を動かすことができないので、ブドウ糖と脂肪の代謝に悪い影響が出てくるおそれがあります。テレビを見ながら、高カロリーのスナックを食べ続けて、そのまま寝てしまうという生活スタイルはお勧めできません」と、セントラル ワシントン大学の栄養士のダネル スウェージェン氏は言う。

 「脂肪とタンパク質を多く含むカロリーの多い食事は、消化するのに3~4時間以上かかります。そうした食事は就寝前にはとらない方がよいのです。寝る前に食べるのであれば、カット野菜や低脂肪の乳製品などであれば、低糖質・低カロリーであり、胃にとどまる時間が長く空腹をまぎらわすことができます」。

 ストレスを感じていると、なかなか眠りにつけず、つい食べ過ぎてしまうことがある。ストレスを解消するために入浴したり、軽い散歩、読書、音楽、瞑想をするなど、リラックスできる自分なりの生活スタイルを見つけておくことも重要だ。

People who eat a late dinner may gain weight(米国内分泌学会 2020年6月11日)
Metabolic Effects of Late Dinner in Healthy Volunteers - A Randomized Crossover Clinical Trial(Endocrine Society's Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2020年6月11日)
Eating Before Competition(セントラル ワシントン大学)
The Association of Energy and Macronutrient Intake at Dinner Versus Breakfast With Disease-Specific and All-Cause Mortality Among People With Diabetes: The U.S. National Health and Nutrition Examination Survey, 2003-2014(Diabetes Care 2020年4月)