「超加工食品」が肥満や糖尿病の原因に 悪玉ホルモンを増やし食欲を増進

 「超加工食品」の食べ過ぎが、メタボや肥満、2型糖尿病の増加に拍車をかけているという研究が発表された。
 「超加工食品では満足感を得にくいので、食べ過ぎになりがちになります」と、研究者は注意を促している
「超加工食品」は栄養バランスを欠いている
 「超加工食品」(Ultra-Processed Foods)とは聞きなれない言葉だが、実は私たちの身のまわりにあふれている食品だ。

 米国糖尿病学会(ADA)によると、超加工食品とは「糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料など添加物を加え、工業的な過程を経て作られる、常温で保存できたり、日持ちを良くしてある食品」のことだ。

 果糖や人工油脂などをたっぷり使った菓子パンなどが超加工食品だ。他にも、▼スナック菓子、▼菓子パン・総菜パン、▼カップ麺、▼ピザ・ホットドック、▼ケーキ・クッキー・パイ、▼ミルクシェイク・カスタード、▼ドーナツ・マフィン、▼ミートボール・チキンナゲット、▼高カロリーの清涼飲料――などがある。

 調理済みの「超加工食品」の多くは栄養価のバランスを著しく欠いている。高カロリー、高脂肪、高塩分だが、他の必要な栄養素であるビタミンやミネラル、食物繊維などはあまり含まれていない。

関連情報
食べ過ぎ・体重増加につながりやすい
 コンビニやスーパーで売られている調理済みの加工食品よりも、野菜や穀類、肉、魚など自然の素材を自宅で調理して食べた方が体に良さそうだと、多くの人が思っている。

 しかし、超加工食品の悪影響は考えられている以上に大きいことが、米国の研究で明らかになった。

 超加工食品を食べると、加工度の少ない自然に近い食材を使った食品を食べたときに比べ、摂取カロリーが増え体重が増えることが示された。たとえ摂取するカロリーと栄養素が同じであっても、超加工食品は肥満になつがるという。

 研究は、米国立衛生研究所(NIH)の国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)によるもので、その成果は医学誌「Cell Metabolism」に発表された。
ヒトを対象に比較試験を実施
 研究チームは、20人の成人ボランティアに協力してもらい、4週間の試験を実施した。これは超加工食品の影響を詳しく調べたはじめての無作為ランダム化比較試験だ。

 これまで報告された観察研究では多数の人を対象としており、特定の食品を食べるように調整していないので、加工食品が多いことが問題なのか、生鮮食品へのアクセスが悪いことが問題なのか、よく分かっていなかった。

 「今回の研究は、超加工食品と健康の因果関係を実証した最初の研究です。超加工食品は食べ過ぎと体重増加を引き起こすことが明らかになりました」と、NIDDKの主任研究者のケヴィン ホール氏は言う。
超加工食品を食べると1日に500kcalを多く摂取
 研究チームは、男性10人と女性10人の健康な成人、計20人のボランティアに協力してもらい、NIH臨床センターの実験室で4週間の生活をしらもらい、超加工食品と最小加工食品を2週間ごとに摂取してもらった。超加工食品の定義はNOVA分類システムにより行った。

 超加工食品は、たとえば朝食であると、クリームチーズと七面鳥のベーコンのベーグルなどだった。これに対して最小加工食品は、バナナ、クルミ、スキムミルクの入ったオートミールなどだ。

 どちらの食事もカロリー・炭水化物(糖分)・タンパク質・食物繊維・脂肪・塩分などの含有量は同じに設定された。参加者は要望に応じて多く食べたり、少なく食べたりすることが許された。

 その結果、超加工食品を食べると1日に平均500kcalを多く摂取し、最小加工食品に比べて食べるスピードが速く、体重も増えることが明らかになった。超加工食品を食べている期間は平均して体重が0.9kg増えた。逆に、最小加工食品を食べると同等の体重が減った。
超加工食品が食欲増進ホルモンを増やす
 ホール氏らは、食事によって血中のホルモン値が変化することに注目した。超加工食品を食べているときは、食欲増進ホルモンであるグレリンの値が上昇し、最小加工食品を食べているときは、食欲抑制ホルモンであるPYYの値が上昇した。

 「超加工食品を食べ続けると、カロリーを余分に摂りやすくなり、体重が増え、不健康になるおそれがあります。栄養価が高い食品を入手しやすくすることが、長期にわたり健康を維持するために必要です」と、NIDDKのグリフィン ロジャース氏は言う。

 一方で、「加工度の低い健康的な食品は、製造や流通にお金がかかりやすいことに注意しなければなりません。食事指導をするだけでなく、健康的な食品へのアクセスを改善しないと、食事を改善できません」と、ロジャース氏は付け加えている。
食べ過ぎると死亡リスクが上昇
 スペインのナバラ大学による別の研究では、超加工食品を1日4サービング以上食べていると、死亡リスクが62%増加し、1日1サービング増えるごとに死亡リスクが18%増加するという衝撃的な結果が示されている。

 この研究は、平均年齢37.6歳のスペイン人1万9,899人を対象に、10.4年間追跡して調査したコホート研究によるもの。

 超加工食品を多く食べる人は、間食や1日3時間以上のテレビ視聴が多く、1日のコンピュータ使用時間が長く、脂肪の摂取量が多く、野菜・果物・オリーブ油の摂取量が少ないなどの傾向がみられたという。

 「今後の研究では、超加工食品のどのような性質が人々の食事行動に影響を及ぼすかを解明する必要があります。さらには、摂取カロリーや体重の増加を起こさない加工食品を開発できるかを探ります」と、ホール氏は述べている。
食品に加えられている糖に注意
 ハーバード大学の研究チームによると、ドーナツ、フライドポテト、チョコレートバー、ポテトチップスなどの超加工食品に含まれる果糖(コーンシロップ)などの人工的な糖が、食品のカロリーを高めるだけでなく、2型糖尿病や心血管疾患の発症リスクも高めているという。

 超加工食品には、糖分・塩分・油脂などに加えて、通常の調理では使わない香味料や乳化剤、着色料といった、食品を本物らしくするための添加物が加えてある。

 添加糖はほとんどあらゆる食品に含まれる。パスタソースやドレッシング、クラッカー、パン、調理済みのスープ、ソーセージなど、甘いと感じない食品にも、多くの糖質や脂質が使用されている。

 糖質や脂質の過度の摂取は、高血糖や高血圧、中性脂肪の増加、LDL(悪玉)コレステロールの上昇、HDL(善玉)コレステロールの減少、インスリン抵抗性などを引き起こす。
食品の栄養成分表示を見る習慣を
 超加工食品は現代人の生活のすみずみに入り込んでいるが、食べ過ぎにはくれぐれも注意した方が良い。

 米国糖尿病学会(ADA)は、加工食品を利用するときは、栄養成分と原材料の表示をよく見て確かめることを勧めている。これが、加工食品に何が含まれているかを知るための最良の手段だという。

 そうしたうえで、ナトリウム(塩分)、糖分、不健康な脂肪の少ない食品を選択すると安全だ。

NIH study finds heavily processed foods cause overeating and weight gain(米国国立衛生研究所 2019年5月16日)
Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake(Cell Metabolism 2019年5月16日)
Association between consumption of ultra-processed foods and all cause mortality: SUN prospective cohort study(British Medical Journal 2019年5月29日)
Eating more ultra-processed foods may shorten life span(ハーバード公衆衛生大学院 2019年5月)