「超加工食品」は肥満・メタボ・心臓病のリスクを高める 「自然な食品」はリスクを減らす

 工業的過程によって製造される超加工食品が少なく、野菜や全粒穀物、イモ類などが含まれる、食物繊維の多い自然な食事をわずか3週間続けただけで、体重減少が促進されることが明らかになった。

 逆に、超加工食品を食べすぎていると、肥満、糖尿病、心臓病などの疾患のリスクは高くなった。

 超加工食品を多くとる食生活により、筋肉の質が低下し、膝の変形性関節症のリスクが上昇するという調査結果も発表された。

 「不健康な食事は肥満など多くの疾患の発症と関連しています。生活改善と病気の管理により潜在的に改善できると考えられます」と、研究者は指摘している。

超加工食品は肥満や心臓病のリスクを高める

 野菜・豆類・イモ類などの植物性食品が含まれる、栄養バランスが良好で、食物繊維が豊富な健康的な食事スタイルにより、肥満、糖尿病、心臓病などの慢性疾患のリスクが大幅に減少することが、カナダのアルバータ大学などによる研究で明らかになった。

 逆に、「超加工食品」を食べすぎていると、それらの疾患のリスクは高くなる。

 超加工食品とは、ポテトチップス、菓子パン、カップ麺、クッキー、ビスケット、ホットドッグ、冷凍ピザなどの、工業的過程によって製造される食品だ。

 これらの食品は、糖質・脂肪・塩分が多く含まれ、高カロリーのものが多く、保存料・香味料・添加糖・硬化油・乳化剤などの添加物も加えられている。タンパク質や食物繊維などの必要な栄養が不足しているものも多い。

 「工業化の進んだ先進国で多く利用されている超加工食品は、肥満や糖尿病、心臓病などの慢性疾患の発症にも大きく影響していると考えられます」と、同大学農業・食品・栄養科学部のジェンス ウォルター教授は述べている。

わずか3週間の自然な食事により体重が減少

 研究グループは、カナダの健康な成人30人を対象に、ランダム化比較試験を実施した。

 その結果、超加工食品の少ない、さらには野菜や全粒穀物、イモ類などが含まれる、食物繊維の多い自然な食事をわずか3週間続けただけで、体重減少が促進されることが分かった。

 健康的な食事により、悪玉のLDLコレステロールが17%減少し、空腹時血糖が6%低下し、炎症の指標となるC反応性タンパク(CRP)の値が14%減少した。腸内細菌のバランスも改善した。

 研究グループは、パプアニューギニアの農村部で食べられている伝統的な食品を参考にして、食事メニューを組み立てたという。キャベツ・タマネギ・キュウリなどの野菜、豆類、イモ類、玄米などを多く取り入れた。

 そうした地域は工業化が進んでおらず、吸収の早い糖質や体に悪い飽和脂肪酸が多く含まれる超加工食品はほとんど食べられていない。加工度の低い自然のままの食品が多く利用されているという。

 エネルギー産生栄養素のバランスは、炭水化物が60%、タンパク質が15%、脂肪が25%で、カナダのものとあまり変わらなかった。

不健康な食事は老化を加速させる

 不健康な食事は老化を加速させることが、フィンランドのユヴァスキュラ大学による別の研究でも示された。研究グループは、21~25歳の双子826人を対象に調査した。

 高カロリーのファストフードや糖質が加えられたソフトドリンク、加工肉を食べすぎて、野菜など植物性食品をあまり食べない食事スタイルにより、生物学の老化の進行が早まることが示された。

 「人間は必ずしも、実年齢と同じ速度で生物学的に老化するわけではありません」と、同大学老年学研究センターのスヴィ ラヴィ氏は言う。

 「若い人でも、実年齢に比べて生物学的老化が速いと、肥満や糖尿病など、病気や死亡のリスクが高くなると考えられます」としている。

超加工食品の食べすぎは筋肉を低下
膝の変形性関節症のリスクが上昇
 超加工食品を多くとる食生活により、筋肉の質が低下するという調査結果も発表された。

 超加工食品の食べすぎている人は、摂取カロリーや身体活動レベルに関係なく、太腿の筋肉内に蓄積される脂肪の量が増えやすいことが示された。研究は、北米放射線学会(RSNA)が発表したもの。

 研究に参加した平均年齢が60歳の666人の成人は、体格指数(BMI)が27の過体重で、過去1年間に摂取した食品の40%は超加工食品だったという。

 「大腿部の筋肉内脂肪量の増加は、膝の変形性関節症のリスクを高める可能性もあります」と、カリフォルニア大学放射線・画像学部のゼフラ アッカヤ氏は言う。

 変形性関節症は、関節が徐々に変形し、痛みや腫れをきたした状態。とくに体重を支える膝関節、股関節や、背骨の腰の部分(腰椎)に症状がでると、日常生活に支障が出やすくなる。

 「この病気は、肥満や不健康なライフスタイルと深く関連しており、生活改善と病気の管理により潜在的に改善できると考えられます」と、カリフォルニア大学放射線・画像学部のゼフラ アッカヤ氏は言う。

 「栄養バランスのとれた健康的な食事や、適度な運動を行う習慣など、ライフスタイルの改善により、肥満を予防するなど、変形性関節症を抑制する手段はたくさんあります」としている。

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