脳卒中の脅威が世界中で拡大 脳卒中の新規発症は30年間で70%増【予防のための8項目】
2024年10月29日
世界的に肥満・糖尿病・高血圧などが増えており、脳卒中を新たに発症した人は30年間で70%増えたことが明らかになった。
脳卒中で死亡した人の数も44%増え、脳卒中がもたらす障害や損失も32%増えている。脳卒中の脅威は世界中で拡大している。
「良い知らせもあります。脳卒中は、予防と治療が可能であることです。米国では、毎年50万人以上が脳卒中を発症していますが、その最大80%は予防が可能と考えられています」と、研究者は指摘している。
米国脳卒中学会(ASA)は、脳卒中の一次予防を推進するために、健康的な生活スタイルを8項目にまとめた「ライフ エッセンシャル 8」も推奨している。
脳卒中は世界中で大幅に増加 脳卒中は予防が可能
脳卒中による負担の84%は改善が可能
世界的に肥満・糖尿病・高血圧などが増えているのを受け、脳卒中を新たに発症した人は1990~2021年に70%増えたという調査結果を、米国のワシントン大学 保健指標評価研究所(IHME)が発表した。
脳卒中で死亡した人の数も44%増え、脳卒中がもたらす障害や損失も32%増えている。脳卒中の脅威は世界中で拡大している。
「世界で毎年、1,190万人が脳卒中を発症し、730万人が脳卒中により命を落としています。脳卒中の発症には、運動不足、気候変動による高温化、大気汚染、喫煙なども関連しています」と、ニュージーランドのオークランド工科大学のヴァレリー フェイギン教授は言う。
脳卒中のリスクを高めるものとして、▼肥満(リスクが88%増)、▼気候変動による高温など(72%増)、▼糖尿病(32%増)、▼糖質が多く含まれる高カロリーの食品や飲料(23%増)、▼運動不足(11%増)、▼高血圧(7%増)、▼コレステロールを下げる不飽和脂肪酸の少ない食事(5%増)などを挙げている。
「脳卒中は、虚血性心疾患と新型コロナに次ぐ、世界で3番目に多い死亡原因です。しかし、良い知らせもあります。脳卒中は、予防と治療が可能な疾患であることです」と、フェイギン教授は指摘する。
「脳卒中による負担の84%は、23の修正可能な危険因子に関連しており、改善が可能です」としている。
脳卒中を予防するための8項目の生活スタイル
ライフ エッセンシャル 8
ライフ エッセンシャル 8
脳梗塞が起こったときにどのような症状があらわれるか
日本の国立循環器病研究センターが公開しているFASTキャンペーンのポスター
Global, regional, and national burden of stroke and its risk factors, 1990-2021: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2021 (Lancet Neurology 2024年10月)
Stroke Facts (米国疾病対策センター 2024年5月15日)
New guideline: Preventing a first stroke may be possible with screening, lifestyle changes (米国脳卒中学会 2024年10月21日)
2024 Guideline for the Primary Prevention of Stroke: A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association (Stroke 2024年10月21日)
Life's Essential 8: Your checklist for lifelong good health (米国脳卒中学会)
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