運動不足を解消するのに必要な時間はわずか15分 従業員の運動習慣を促す企業の取り組み

 お昼休みなどを利用し、わずか15分でも体を動かす「15分間チャレンジ」により、運動不足を解消し、健康促進を期待できることが、企業の従業員1万人超を対象とした調査で明らかになった。

 チャレンジに参加した人の多くは、仕事を終えた余暇時間にも運動をするようになり、1日の運動時間が増えたとしている。

 「15分間という目標は、とくに座ったまま過ごす時間の長い人にとって、取り組みやすいものです。運動をはじめるのを妨げる障壁を減らし、運動をする習慣を身につけるのに役立ちます」と、研究者は述べている。

わずか15分でも体を動かして運動不足を解消

 お昼休みなどを利用し、わずか15分でも体を動かすことで、運動不足を解消し、健康促進を期待できることが、南オーストラリア大学の研究で示された。

 研究グループは、英国、オーストラリア、ニュージーランドの73の企業の従業員1万1,575人を対象に調査を実施した。

 職場の健康増進プログラムとして実施された、休み時間にウォーキングや体操、ヨガなどを行い、積極的に体を動かす「15分間チャレンジ」に参加した人は、身体活動レベルが大幅に向上したことが分かった。

 6週間のチャレンジ期間中に、参加者の1日の運動時間は平均して12分(週に85分)増加し、1日の運動時間の合計は45分に増えた。運動ガイドラインで推奨されている運動量を満たしている人も増えた。

 運動に取り組んでいる人からは、体力の向上(14%)、エネルギー代謝の改善(12%)、全体的な健康状態の改善(8%)、睡眠の質の向上(8%)、気分の改善(7.1%)などの効果も報告された。

職場で運動に取り組むのを促すのは理想的

 「企業などは、従業員が職場でより活動的になることを促すために、さまざまな健康促進イニシアチブを考案しています」と、同大学ヒューマン・パフォーマンス学部のベン シン教授は言う。

 「今回の研究により、運動不足を解消し、成功への道に進むために、わずか15分間のチャレンジでも効果を期待できることが示されました」。

 「大多数の人は、起きている時間の多くを仕事に費やしているため、職場で運動に取り組むことを促進するのは理想的です」としている。

 「15分間チャレンジ」に参加した人の多くは、仕事を終えた余暇時間にも運動をするようになったという。

15分間の運動は取り組みやすい

 運動に取り組むことは、2型糖尿病、肥満、心血管疾患、がんなどの慢性疾患を予防・管理するために重要だ。運動は、うつ病や不安症などのメンタルヘルス不調を軽減するのにも役立つ。

 世界保健機関(WHO)は、成人(18~64歳)は1週間に、ウォーキングなどの中強度の有酸素運動を150~300分以上、または高強度の有酸素運動を75~150分以上行うことを推奨している。

 「運動を習慣として行うと、身体と精神の健康に大きなメリットがもたらされます。しかしオーストラリアでは、推奨されている運動量を満たしている成人は37%しかいません」と、シン教授は言う。

 「15分間という目標は、とくに座ったまま過ごす時間の長い人にとって、取り組みやすいものです。運動をはじめるのを妨げる障壁を減らし、運動をする習慣を身につけるのに役立ちます」としている。

ともに励ましあう仲間を作るスマホアプリを導入

 今回の研究では、参加者が運動に取り組む仲間をつくり、友好的な競争を通じて励ましあい、運動を継続するための動機付けを与えるスマホアプリも導入された。

 そのアプリは、参加者が協力しあい、楽しみながら取り組むことを促すツールとして使われ、チームのコラボレーションを促進するために利用された。週や月の運動時間を記録し表示し、運動ランキングも公開し、成果を評価し励ます機能も付いていたという。

 「忘れてはならないのは、運動不足の解消に取り組むのは、全員の責任だということです。従業員をサポートするために効果的で、楽しく参加でき、費用対効果の高い選択肢を導入できれば、企業と従業員の双方にとってメリットがあります」と、シン教授は指摘する。

 「従業員が体を積極的に動かすことで、より健康になれ、生産性が向上し、ストレスが減り満足度は高まり、病気になる可能性も低くなります。これは企業などにとって利益になることです。従業員の健康と幸福をより良く改善しサポートするために、持続と拡張が可能な取り組みをすることは、すべての企業にとって有益です」としている。

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