どんな食事スタイルの人が肥満・メタボのリスクが高い? 食事を改善する簡単な方法

 健康的な食事スタイルは、肥満のリスクを減らすことが明らかになっている。それでは、食事スタイルを簡単に改善できる方法はないだろうか?

 食事をするときは、なるべく意識を食事に集中させることが、食事を改善するコツだという研究が発表された。

 日本人を対象とした大規模な長期コホート研究でも、糖尿病の発症リスクと関連のある食事スタイルが示された。

 ▼朝食を食べない、▼食べるのが早い、▼夕食後に間食をとる、▼寝る前に食事をする――という食事スタイルをもつ人は、糖尿病リスクが高い傾向があることが明らかになった。

健康的な食事スタイルは肥満のリスクを減らす

 健康的な食事スタイルは、肥満のリスクを減らすことが明らかになっている。それでは、食事スタイルを簡単に改善できる方法はないだろうか?

 食事をするときは、なるべく意識を食事に集中させることが、食事を改善するコツだという研究を、米国心理学会(APA)が発表した。

 食事をしているときに、食事以外の他のことをして、気が散りやすくなると、食べる楽しみと満足感が失われ、つい食べすぎてしまう傾向があるという。

 研究グループは、18~24歳の122人の参加者を対象に実験を行った。参加者に、食事の前に「食べることをどれだけ楽しみにしているか」を報告してもらい、「食事に集中する」「ビデオ視聴などの中程度の気晴らしをしながら食べる」「テトリスで遊ぶなど高程度の気晴らしをしながら食べる」という、3つの条件のいずれかで昼食をとってもらった。

 その結果、参加者は気晴らしをしながら食べたときには、食事の楽しみや満足感が低下したと報告し、その後の間食の増加や、満腹感に対する欲求のさらなる高まりにつながりやすいことが示された。

食べることに集中できないと食事に対する満足感が低下

 「食事はすべての人にとって楽しみになりえますが、食べることから注意をそらし、気が散ってしまうと、食事に完全に集中しているときに比べて、楽しみが減ってしまい、食べすぎにつながりやすいことが示されました」と、ベルギーのゲント大学でコミュニケーション科学を研究しているスティーブン マーフィー氏は言う。

 「必ずしも必要だからではなく、ただ気分が良くなりそうだという理由だけで行動する快楽的消費は、食事にまで影響します。その結果として食事に対する満足感が低下し、食べすぎにつながるおそれがあります」としている。

 目の前のあることに集中しやすくなるためのメンタル トレーニングとして「マインドフルネス」が知られている。

 研究グループが、18~71歳の220人の参加者を1週間追跡して調査した別の実験でも、多くの人は消費行動をしているときに気が散ると、期待していたよりも手に入れた製品を楽しめず、満足感が低下し、さらなる満足感への欲求が高まることが示されたという。

食べるのが早いと糖尿病リスクは2倍に上昇

 日本人を対象とした大規模な長期コホート研究で、2型糖尿病の発症リスクと関連のある食事スタイルが示された。

 京都府立医科大学の研究グループは、同大学とパナソニック健康保険組合の共同研究である「パナソニックコホート研究」に参加した12万8,594人成人を対象に、平均して6.4年追跡して調査した。うち6,729人が期間中に2型糖尿病を発症した。

 解析した結果、▼朝食を食べない、▼食べるのが早い、▼夕食後に間食をとる、▼寝る前に食事をする――という食事スタイルをもつ人は、2型糖尿病の発症リスクが高い傾向があることが明らかになった。

  • 朝食を食べない 糖尿病リスクは1.33倍に上昇
  • 食べるのが早い 糖尿病リスクは1.96倍に上昇
  • 夕食後に間食をとる 糖尿病リスクは1.07倍に上昇
  • 寝る前に食事をする 糖尿病リスクは1.08倍に上昇

 糖尿病の発症リスクは、体格指数(BMI)が25未満の普通体重の人でも、▼早食いをする人で1.61倍、▼寝る前に食事をする人で1.09倍に上昇した。

 「BMIが25未満でやせている人も、不健康な食事スタイルは、2型糖尿病の危険因子となる可能性があります」と、研究者は述べている。

Why do we overindulge? (米国心理学会 2024年5月16日)
Underwhelming pleasures: Toward a self-regulatory account of hedonic compensation and overconsumption (Journal of Personality and Social Psychology 2024年5月)
Eating behaviors and incidence of type 2 diabetes in Japanese people: The population-based Panasonic cohort study 15 (journal of the Asian Association for the Study of Diabetes 2024年4月2日)