「豆類」が肥満・メタボのリスクを減少 満腹感を得やすく体重管理が改善

 豆類を食べる習慣のある人は、満腹感を得やすく、体重を減らし体重管理が改善しやすいことが明らかになっている。

 豆類を食べる食事スタイルは、食事全体の質を高め、健康的な体重を維持するのに役立つことも分かった。

 「豆類には、不足しがちな栄養素が多く含まれ、食事の質のスコアを上げるのに役立つ可能性があります」と、研究者は指摘している。

豆を食べる食事スタイルは健康的

 豆は、日本を含む世界中で古くからなじみの深い食材だ。日本では大豆が、納豆や豆腐、味噌、醤油といった加工品の原料として利用されている。

 大豆に加えて、インゲンマメ・ソラマメ・エンドウマメ・ヒヨコマメ・レンズマメなど、世界で食用とされている豆は、70~80種類あると言われている。

 豆類を食べる習慣のある人は、満腹感を得やすく、体重を減らし体重管理が改善しやすいことが、カナダのトロント大学などの研究で明らかになっている。

豆は高タンパク・低脂肪 代表的な低GI食品

 豆類は、植物性タンパク質が多く含まれ、脂肪はあまり含まれない、食事療法に適した「高タンパク・低脂肪」食品だ。食物繊維、カルシウム、カリウム、ポリフェノールなどの栄養も含まれる。

 「食後血糖値の上昇度を示す指標として、グリセミック インデックス(GI)を提唱しています。豆は代表的な低GI食品です。GI値が低い食品は、血糖値の上昇をゆるやかにします」と、同大学栄養科学部のデビッド ジェンキンス教授は言う。

 豆類には糖質も含まれるが、その量は米やパンなどの炭水化物を主成分とする食品の半分くらいで、その主体は血糖値の上昇がゆるやかな多糖類であるデンプンだ。

豆を食べると肥満・メタボのリスクが減少

 「減量を試みる人の90%は失敗し、体重がリバウンドしてしまう人も多いのですが、その原因のひとつは、空腹感に耐え、食欲を抑えるのが難しいことです」と、同大学栄養科学部のジョン シーベンパイパー氏は言う。

 「満腹感が長く続く食べ物があれば、より多くの人は体重を減らし、健康的な体重を実現することが可能性になります」としている。

 研究グループは、カナダ健康研究所などの支援を受け、2,000件を超える研究論文を解析した。うち9件は126人が参加した臨床試験だった。

 その結果、エンドウマメ・レンズマメ・ヒヨコマメなどを、1日に平均160gを食べている人は、あまり食べていない人に比べて、満腹感が31%増加することが明らかになった。

 研究グループのこれまでの研究では、豆類を毎日食べている人は、悪玉のLDLコレステロールが5%減少し、心血管疾患のリスクが低い傾向があることも示されている。

 「豆を食べることに健康上のベネフィットがあることが知られているにもかかわらず、毎日食べているというカナダ人はわずか13%です。豆を食べる食事スタイルは地産地消にもつながります」と、シーベンパイパー氏は指摘している。

 「かつては伝統的なスタイルの食事をしていて、豆類をよく食べていたのに、現在はコレステロールや脂肪を多く含む欧米型の食事(ウエスタンダイエット)が主流になっている地域で、肥満や2型糖尿病がとくに増えている現状をみると、豆類を食べる食事スタイルは重要と考えられます」としている。

豆類は食事の質を高める

豆には不足しがちな栄養素が多く含まれる

豆類にはカルシウム、食物繊維、カリウム
などの大切な栄養が多く含まれる
 豆類を食べる食事スタイルは、食事全体の質を高め、健康的な体重を維持するのに役立っていることが、米ミネソタ大学などによる新しい研究でも明らかになった。

 豆類、とくにヒヨコマメは、栄養価が高い健康食として注目されている。ヒヨコマメは、米国・カナダ・メキシコでも多く生産されていて、スープやシチュー、豆料理、サラダなどの食材として利用されることが多い。

 「豆類には、不足しがちな栄養素が多く含まれ、食事の質のスコアを上げるのに役立っている可能性があります」と、米ミネソタ大学食品科学栄養学科のジョアン スラビン氏は言う。

 研究グループは今回、2001年~2018年の米国国民健康・栄養調査(NHANES)の約4.5万人のデータを解析し、ヒヨコマメなどの豆類を食べる習慣のあるグループと、食べていないグループを比較した。

気候変動や環境へのマイナスの影響が少ない

 その結果、豆類を多く食べているグループは、αリノレン酸・葉酸・鉄・マグネシウム・ビタミンEなどの不足しがちな栄養素の摂取量が多く、食物繊維・カリウム・カルシウムなども多くとっている傾向があることが示された。

 さらに、1日に豆類を2サービング以上食べているグループは、体格指数(BMI)やウエスト周囲径が低く、肥満が少ない傾向もみられた。

 「豆類は、食事の栄養や健康度を改善するのに貢献していることが示されました。米国の食事ガイドラインでも、豆類を食べることが推奨されています」と、スラビン氏は指摘する。

 「豆類は、缶詰や乾燥豆なども流通していて、利用しやすい食材です。温室効果ガスの排出量の削減や、土壌の肥沃度の向上も期待できる、気候変動や環境へのマイナスの影響がもっとも少ない食品です」としている。

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