【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい

 およそ半数の女性が更年期障害を経験するが、症状をやわらげる効果的な治療を受けられているのは15%未満と少ないことが明らかになった。

 片頭痛があり、ほてりや寝汗の長期の病歴がある女性は、心臓病や脳卒中のリスクが高い傾向があることも報告されている。

 「更年期障害と心血管疾患の両方について、自分の人生をコントロールするために、女性は多くのことができます」と、研究者は指摘している。

更年期障害の治療を受けられている女性は15%未満

 およそ半数の女性が更年期障害を経験するが、症状をやわらげる効果的な治療を受けられているのは15%未満と少ないことが、米国・オーストラリア・イタリアの研究グループが明らかになった。

 過去70年以上にわたる更年期障害に関する研究を解析した結果、ホットフラッシュや頭痛、気分の落ち込みやイライラなどの更年期症状を経験している女性にとって、治療法の選択肢はあまり増えていないことが示された。

 更年期障害の治療として、ホルモン補充療法(HRT)、心理療法や向精神薬の処方などが行われており、日本では漢方薬が処方されることも多い。しかし、必要とする女性のすべてがアクセスできているわけではなく、長期的な効果や安全性についての研究は不足しているとしている。

 治療薬による副作用や、サプリメントやハーブなどの効果が疑われる民間療法なども懸念される。更年期障害の新たな治療法を開始し、その症状と体に起こる全身的な変化の両方に、個別に対処できるようになるのが望ましいとしている。

更年期に健康でいることが健康な老化の入り口に

 女性は40歳を過ぎると、ホルモンバランスが大きく変化しやすい。更年期障害には、身体・心理・社会のさまざまな因子が複雑に影響している。

 年齢を重ねると、子宮体がんや卵巣がん、甲状腺の病気、関節リウマチ、メニエール病、骨粗鬆症、心血管疾患などのリスクも上昇する。女性の健康についてトータルに相談できる婦人科のかかりつけ医をもつことを勧めている。

 「更年期は、すべての女性にとって困難な時期になっているわけではありませんが、症状が重かったり、仕事や家庭などの生活に支障をきたし、ストレスになっている女性は多くいます」と、オーストラリアのモナシュ大学の公衆衛生・予防医学部および女性の健康研究プログラムのスーザン デイビス氏は言う。

 「閉経は女性にとって自然な生物的現象なので、更年期の症状を緩和するための介入は必要がないという考えは間違っています。女性にとって、閉経期に健康状態を最適に維持することは、健康な老化の入り口になります」としている。

人生をコントロールするためにできることは多い

 女性の更年期には、さまざまな不定愁訴があらわれることが知られている。代表的な症状として、片頭痛や、のぼせ・ほてり・発汗などのホットフラッシュがある。

 片頭痛があり、ほてりや寝汗の長期の病歴がある女性は、心臓病や脳卒中のリスクが高い傾向があることが、米ミシガン大学による別の研究で明らかになった。片頭痛のある若い女性も、年齢を重ねると更年期症状のリスクが高いという。

 ▼質の良い睡眠、▼運動の習慣化、▼健康的な食事、▼禁煙、▼血圧値・血糖値・コレステロール値・体重を管理する――といった対策をすると、更年期障害と心臓病・脳卒中などのリスクを減少できるとしている。

 「更年期障害と心血管疾患の両方について、自分の人生をコントロールするために、女性は多くのことができます」と、同大学で女性のリプロダクティブ ヘルスについて研究しているキャサリン キム氏は言う。

 「すべての女性が、年齢を重ねるにつれて同じ経験をするわけではありませんが、生活スタイルを見直すことで、心臓病や脳卒中の危険因子を減らすことはできます」としている。

更年期の片頭痛は心臓病や脳卒中のリスクと関連

 研究グループは今回、健康診断を定期的に受け、血液検査を受けることを望んだ1,966人の女性を対象に調査を行った。参加者は、10代後半から30代前半に健診を受けはじめ、現在は50代と60代になっている。

 更年期にともなうホットフラッシュなどの症状は、「血管運動神経症状」(VMS)として知られている。研究に参加した女性の30%強は、持続的なほてりや寝汗があり、そのうち23%は、片頭痛も経験していると報告した。

 解析した結果、VMSを経験しやすい女性は、若いときから片頭痛があった、抑うつ症状を経験したことがある、喫煙していた時期があるなどの傾向があることが分かった。

 「更年期障害の症状が出やすい人を、成人期の早期に特定できる可能性があります。若いときの片頭痛や、それにともなう抑うつ症状などの危険因子について解明することが、更年期障害の新たな治療法の開発につながる可能性があります」としている。

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[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]