健康管理アプリを活用 完璧さを求めず自分に合ったものを見つけることも大切 30%の利用でも効果

 食事や運動の記録ができる健康管理アプリを利用し、1日に食べたり飲んだものを記録し、体重が増えたときは、何が原因になっているかを振り返ってみることは効果的という研究が発表された。

 ただし、健康管理アプリを利用した保健指導では、完璧さを求めず、あきらめずに減量への取り組みを続けてもらうことが大切としている。

 さらに使用するアプリは、指導の対象となる人に合っていて、その人が使いこなせるものを探す必要があることも示されている。

食事や運動の記録は完璧さを求めないことも大切

 減量をして、肥満やメタボを解消するために、健康管理アプリを活用し、食事や運動などの改善に取り組むのは効果的であることが、米国のコネチカット大学による研究で示された。

 同大学健康科学部のシェリー パゴト教授によると、スマホで使えて食事や運動の記録ができる健康管理アプリを利用し、1日に食べたり飲んだものを記録し、体重が増えたときは、何が原因になっているかを振り返ってみることは効果的だという。

 「ただし、食事や運動の記録を常に正確に行わなければならないわけでありません。体重管理を長続きさせるためには、完璧さを求めないことも大切です」と、パゴト教授は指摘する。

 研究グループは、肥満のある153人の参加者を対象に、減量のための保健指導を行い、さらに食事や運動の記録ができる健康管理アプリを利用して、6ヵ月をかけて減量に挑戦してもらった。

 その結果、スマホアプリで食事や運動の記録するのは毎日欠かさず行わなくとも良く、平均すると、利用率が30%だった人も体重が3%以上減少し、40%だった人も5%以上減少することが分かった。

減量への取り組みはあきらめずに続けることが重要

 ただし、スマホアプリによる食事や運動の記録が、はじめのうちは週に3日ぐらいだったのが、3ヵ月後にゼロにまで低下した人は、体重はほとんど減らなかった。

 「食事や運動を管理できるアプリを使いこなせれば、便利なツールになりますが、さらに重要なのは、減量に取り組む人が主体的に行動変容を起こし、それを持続できることです」と、パゴト教授は言う。

 「1週間という短い期間に体重が0.5kgから1kg変化するのは、よくあることです。体重がなかなか減らない、あるいは増えてしまったというときも、あきらめずに減量への取り組みを続けることが大切です」と、パゴト教授はアドバイスしている。

無料の健康管理アプリでも肥満や過体重の人の体重を減らせる

 無料のスマホアプリを利用して、毎日の食事を記録することで、特別な食事指導がともなわなくとも、肥満や過体重の人の体重を大幅に減少するのは可能であることが、米国のデューク大学による別の研究で示されている。

 「無料で手軽に使えるスマホアプリであっても、利用する人のニーズに合っていれば、体重管理に役立てられる可能性が示されました」と、同大学心理学部のゲーリー ベネット教授は言う。

 「すべての人に大幅な体重の減少が求められるわけでありません。自宅で気軽に参加でき、続けられる減量のための指導を提供することが重要です。最近のデジタルヘルスのアプローチにより、このニーズを満たせる可能性があります」としている。

 研究グループは、21歳~65歳の男女105人をランダムに3つのグループに分け、どのグループにも、減量のための食事管理について広範なアドバイスを提供し、特定のスマホアプリを利用し、毎日の食事を記録するよう求めた。

 1つめの群には、毎日何を食べたかのみを、アプリで3ヵ月間記録してもらい、毎日の食事をふりかえることを求めた。

 2つめ群には、体重を1ヵ月記録してもらい、その後の2ヵ月は食事の記録もしてもらった。このグループには、栄養士によるセミナーや電子メールによるアドバイスなども受けてもらった。

 3つめ群には、同じアプリを使用して、3ヵ月を通して体重と食事の記録をしてもらい、栄養士によるアドバイスも提供した。

自分に合った使いこなせるアプリを見つけることが大切

 その結果、3群すべての参加者は、体重を平均して2.3kg~2.7kg減らすのに成功したが、その減少幅はどの群もあまり変わらなかった。

 もっとも減量に成功したのは、取り組んだ減量プログラムの内容によるものではなく、コンプライアンス(遵守)の高い人だった。食事や運動の記録を行った人ほど、体重を減らしやすいという結果になった。

 つまり、取り組んだ減量プログラムがその人に合っていれば、体重を減らすのに成功しやすいことが分かった。そうした人は、プログラムの終了後も、体重管理を長いあいだ維持できている傾向も示された。

 「健康管理アプリの利用では、体重だけでなく、食事の記録もすることが、減量を成功させるために効果的であることが示されました。ただし、使用するアプリは、保健指導の対象となる人に合っていて、その人が使いこなせるものを探す必要があります」と、ベネット教授は指摘している。

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