魚を食べると心筋梗塞や脳卒中のリスクが低下 頚動脈の動脈硬化が減少 魚のEPAやDHAが効果?
2022年12月15日

魚をよく食べている女性は、動脈硬化の指標となる頸動脈壁肥厚が少ないことを、愛媛大学などが世界ではじめて明らかにした。
魚介類などに含まれるn-3系不飽和脂肪酸などが、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患に予防的に働いているとみられる。
研究グループは、約1万人の成人を20年間追跡して調査している「愛大コーホート研究」のデータを活用し、魚介類などの摂取と頚動脈の状態との関連を調べた。
動脈硬化の検査で多い「頸動脈エコー検査」
魚に豊富に含まれるn-3系脂肪酸は、2重結合をもつ脂肪酸で、血液の流れをスムーズにし、血栓や動脈硬化を抑え、心血管疾患や脳卒中などのリスクを下げるのに役立つと考えられている。 n-3系脂肪酸には、EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)・α-リノレン酸などがあり、このうちEPAとDHAは、サバ・イワシ・アジ・サーモン・マグロ・サンマなどの魚に多く含まれる。α-リノレン酸は、植物油の大豆油やアマニ油などに多く含まれる。 一方、頚動脈(首の両側にある2本の動脈)は、脳に血液をおくる重要な血管で、そこにコレステロールなどがたまり、動脈硬化によって血管が狭くなったりつまると、「頸動脈狭窄症」になり、脳への血流を確保できなくなり、脳梗塞などが引き起こされる。 頸動脈は、冠動脈など全身の血管の状態も反映していると考えられている。糖尿病・高血圧・高脂血症・肥満などがあり、適切な治療を受けないでいると、動脈硬化が進行し、血管壁が硬くなったり、内腔が狭くなったりなりやすい。 超音波を使い頸動脈を調べるエコー検査は、動脈硬化の有無や程度を知るのに適している。頸動脈エコー検査で調べられるのは一般的に、中内膜肥厚度(血管壁の厚さ)や、プラーク(壁の一部が盛り上がった部分)の状態だ。魚をよく食べている女性の頸動脈は良好 世界ではじめて明らかに

魚介のEPAとDHAに予防効果 α-リノレン酸も
「愛大コーホート研究」は、成人を対象に20年間追跡している前向きコーホート研究。研究グループは今回、愛媛県八幡浜市、内子町、西予市、愛南町で実施したベースライン調査(初年度の調査)のデータを活用した。 34歳~88歳の男女2,024人を対象に、IMTを自動で測定できる超音波診断装置を用いて調査。さらに、栄養摂取について、169質問からなる半定量食事摂取頻度調査票を用いて評価した。 その結果、1,297人の女性では、魚介類摂取が多いほど、有意にIMTの有症率が低下し、最大IMTも薄くなった。さらに女性では、総n-3系不飽和脂肪酸摂取が多いほど、IMTの有症率が低く、最大IMTも薄くなった。 魚介類由来のn-3系不飽和脂肪酸であるEPAとDHAについては、IMTの有症率のみ予防的な関連が認められた。植物由来のα-リノレン酸摂取は、最大IMTのみ予防的な関連が認められた。 一方、727人の男性では、魚介類摂取はIMTの有症率と最大IMTには有意な関連がみられなかった。 愛媛大学大学院医学系研究科疫学・公衆衛生学Fish and Polyunsaturated Fatty Acid Intake and Carotid Intima-Media Thickness in Japan: the Aidai Cohort Study in Yawatahama, Uchiko, Seiyo, and Ainan (Journal of Atherosclerosis and Thrombosis 2022年9月30日)
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