全粒穀物が肥満やメタボのリスクを低下 低炭水化物やプラントベースのダイエットにも

 玄米や全粒粉のパンなどの全粒穀物を食べていると、肥満やメタボ、糖尿病のリスクが大きく低下するという研究が発表された。
 全粒穀物を増やし肉を減らすと、心臓に良い食事になると考えられている。
 植物性食品が中心の食事スタイルで注意するべき点も指摘されている。
全粒穀物を食事に加えると肥満が改善
 玄米や全粒粉のパンなどの全粒穀物や野菜を十分に食べていると、肥満や糖尿病のリスクが大きく低下するという研究が発表された。

 未精製の穀類として、玄米、分つき米、麦ごはん、雑穀、ライ麦パン、全粒粉パンなどがある。

 これらの食品を、少しでも食事に加えると、肥満やメタボ、糖尿病の予防・改善に役立つとしている。食物繊維の豊富な全粒穀物は、有益な腸内細菌を増やし、腸内環境を良好にすることも明らかになった。

 「全粒穀物(ホールグレイン)」とは、精白などの処理で、ふすま、胚芽、胚乳などの部位を取り除いていない穀物で、ビタミンB群、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、抗酸化物質、そして食物繊維が豊富に含まれている。

 食物繊維は消化・吸収されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分。糖質の吸収を遅くし血糖値の急上昇を抑えたり、腸の働きをよくするなど、多くの健康効果がある。

 食物繊維が多い食事は、よく噛むために満腹感が得られやすくなり、食べ過ぎを防いで肥満予防につながる。また、脂質やコレステロールなどの吸収を抑えることで、動脈硬化の予防にもつながる。
全粒穀物を十分に食べると糖尿病リスクが30%低下
 ハーバード公衆衛生大学院などの研究グループは、1984~2014年に実施された「看護師健康研究」、1991~2017年に実施された「看護師健康研究II」に参加した16万人以上を対象に、最大18年間追跡して調査し、食事スタイルと肥満や糖尿病の発症との関連を調べた。

 その結果、全粒穀物の摂取量がもっとも多いグループでは、もっとも少ないグループに比べ、2型糖尿病の発症率が30%低くなった。

 白米をもっとも多く(週に5食以上)食べていた人は、月に1回未満の人に比べ、糖尿病のリスクが17%高かった。また、玄米をもっとも多く(週に2回以上)食べていた人は、まったく食べない人に比べ、糖尿病のリスクが11%低かった。

 白米の代わりに全粒穀物を食べることで、糖尿病のリスクを最大で36%減少できると、研究者は推定している。
低炭水化物ダイエットにも質の良い炭水化物が必要
 炭水化物を減らし脂肪やタンパク質を増やす「低炭水化物ダイエット」は、2型糖尿病や肥満を改善できると人気が高い。炭水化物の量をコントロールするときに、質の高い炭水化物が必要という研究が発表された。

 オーストラリアのシドニー大学の研究グループが、炭水化物とタンパク質の組合わせを33種類に分け、マウスに給餌したところ、もっとも効果があり健康的だったのは、炭水化物を難消化性のデンプンにしたときだった。難消化性デンプンはゆっくり吸収され、腸内で腸内細菌によって醗酵される。

 逆に、炭水化物を吸収の早いフルクトース(果糖)とグルコース(ブドウ糖)を1対1に混合した場合は最悪の結果をもたらした。

 「炭水化物はすべてが同じというわけではありません。高度に精製された炭水化物や動物性の脂肪を摂り過ぎている現代の食事スタイルが、2型糖尿病や肥満の危険性を高めている可能性があります」と、シドニー大学生命環境科学部のスティーブン シンプソン教授は述べている。

 伝統的な沖縄料理は、精製されていない炭水化物や、脂肪の少ない良質なタンパク質が多く、沖縄人は世界的にも長寿だったことに言及している。

 「ケーキ、ピザ、菓子などの食品を手にしないで、玄米、オート麦、キノアなどの全粒穀物、レンズ豆、豆、ヒヨコ豆などのマメ類、サツマイモ、カボチャなどデンプンの多い野菜を選ぶべきです」と、同学部のロシレーネ リベイロ氏は述べている。
全粒穀物を増やし肉を減らすと心臓に良い食事に
 中国のハルビン医科大学の2万7,911人の米国人のデータを使用した研究でも、夕食に精製された炭水化物や脂肪の多い肉を食べ過ぎている人は、心臓病のリスクが高いことが明らかになった。

 飽和脂肪、加工肉、糖質の多いジャンクフードを食べ過ぎていると、コレステロール値が上昇し、心臓病のリスクが高まるという。

 研究では、低品質の炭水化物をもっとも多く摂っている人は、もっとも少なく摂っている人に比べ、狭心症のリスクが1.63倍に、心臓発作が1.47倍に上昇することが示された。

 また、動物性タンパク質をもっとも多く摂っている人は、もっとも少なく摂っている人に比べ、冠状動脈性心疾患のリスクが1.44倍に、狭心症のリスクが1.44倍に上昇した。

 「玄米や麦ごはん、全粒粉などの全粒穀類は質の良い炭水化物です。野菜や全粒穀物などの炭水化物を増やし、肉の食べ過ぎを減らすと、心臓に良い食事になり、心血管疾患のリスクを大幅に軽減できます」と、ハルビン医科大学公衆衛生学部のティエンシュー ハン氏は言う。

 「今回の研究では、炭水化物を全粒穀類から摂り、体に良い不飽和脂肪を多く含む植物性食品をよく食べている人は、心臓病のリスクが10%減少することが示されました」としている。
植物性食品が中心の食事をおいしくするために何が必要?
 一方で、植物性食品が必ずしも優れているわけではないという研究も発表されている。

 植物性食品が中心の食事スタイルであると、ビタミンD、カルシウム、鉄、亜鉛などが不足してしまうおそれがある。これらの微量栄養素は、肉や牛乳、卵など、動物性食品に多く含まれる。肉類には体に必要な必須アミノ酸も豊富に含まれる。

 「全粒穀類や野菜などに、肉、魚、牛乳、チーズ、卵などの動物性食品をバランス良く組合わせた食事は、健康的で味が良く、続けやすい」と、米マサチューセッツ大学食品科学部のデビッド マクレメンツ教授は述べている。

 さらに、植物性であることを謳った市販されている加工食品は、味を良くするために、実は飽和脂肪酸、塩分、糖質などを添加してあるものが多いことも懸念している。

 「加工食品をより健康的なものにする必要があります。必要なビタミンとミネラルを含み、食物繊維やフィトケミカルなど、健康促進を期待できる成分を十分に含む加工食品が求められています」と、マクレメンツ教授は言う。

 「ビヨンド ミート」や「インポッシブル フーズ」など、大豆など植物ベースの肉代替品の人気が、世界的に高まっていることも指摘。そうした食品は、持続可能性や健康、環境保全への配慮などの理由から、今後も大きな関心が寄せられるだろうとしている。

 「おいしく、便利で、安価で、生活に簡単に取り入れられる、健康に良い食品を作ることが将来の目標です。現状は、加工食品のほとんどはその段階に到達していません」と、マクレメンツ教授は指摘している。

Intake of whole grain foods and risk of type 2 diabetes: results from three prospective cohort studies(BMJ 2020年7月8日)
Whole Grains: Choose whole grains instead of refined grains(ハーバード公衆衛生大学院)
Health benefits of low protein-high carbohydrate diets depend on carb type(シドニー大学 2021年6月10日)
Impact of dietary carbohydrate type and protein-carbohydrate interaction on metabolic health(Nature Metabolism 2021年6月8日)
People who eat a plant-based dinner could reduce their risk of heart disease by ten percent(米国内分泌学会 2021年5月26日)
Meal Timing of Subtypes of Macronutrients Consumption With Cardiovascular Diseases: NHANES, 2003 to 2016(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2021年5月26日)
UMass Amherst food scientists aim to make plant-based protein cheaper, tastier and healthier(マサチューセッツ大学 2021年6月4日)
A brief review of the science behind the design of healthy and sustainable plant-based foods(Npj Science Of Food 2021年6月3日)