なぜ「朝食を抜くと体重が増える」? 体内時計で解明 名古屋大
2018年11月14日
朝食を抜くと体重増加が引き起こされる原因は、肝臓の時計遺伝子や脂質代謝のリズムの異常と体温のリズムの異常であることを遺伝子レベルで明らかにしたと、名古屋大学が発表した。
毎朝規則正しく朝食を食べることで、体内リズムが正常化し、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠動脈心疾患の予防につながる可能性があるという。
毎朝規則正しく朝食を食べることで、体内リズムが正常化し、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠動脈心疾患の予防につながる可能性があるという。
「朝食抜き」は2型糖尿病やメタボの原因になる
研究は、名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授を中心とする研究グループによるもので、詳細は科学誌「PLOS ONE」電子版に発表された。
「時間栄養学」は、体内時計と食事の関連を調べる研究。これまで体内時計は主に光によって同調されていると考えられてきたが、最近の研究では食事がもっとも強い同調因子として働いていることが分かってきた。
一方で、現代では不規則な食生活が増え、朝食を抜き食生活が不規則になっている人が多い。2015年国民健康・栄養調査では、20歳代の4人に1人が朝食を食べていないと報告されている。
朝食を抜くことは、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病、冠動脈心疾患の原因になるとされているが、身体の中で起こるメカニズムは明らかにされていない
関連情報
朝食を欠食すると体のエネルギー消費が減る
肝臓の時計遺伝子が代謝のリズムをコントロール
人間の身体は、24時間のリズムで変化している。活動や睡眠といった目に見える変化だけでなく、朝が来ると血圧と心拍数が上がりはじめ、昼には血中のヘモグロビン濃度が高くなる。夕方には体温が上がり、夜には尿の流出量が増える。
こうした「体内時計」は、細胞内で数種類の遺伝子のネガティブフィードバック機構によって24時間のリズム(概日リズム)を刻んでいることが分かっており、それらの遺伝子を「時計遺伝子」という。2017年に概日リズムの分子機構の発見者がノーベル生理学・医学賞を受賞した。
また、肝臓の時計遺伝子はリズムを刻んでおり、その支配下でさまざまな代謝のリズムが発振していると考えられている。肝臓は脂質代謝の中枢であり、この脂質代謝もリズムを刻んでいる。
今回の研究で、朝食欠食による体内時計が乱れを遺伝子レベルで明らかにしたことで、朝食を勧めるときの科学的根拠を示すことができるようになった。朝食は「体内時計の正常化にとってもっとも重要な食事」だという。
「朝食をとることで、メタボリックシンドロームや2型糖尿病などの予防・改善も期待できる」と、研究グループは述べている。
名古屋大学大学院生命農学研究科栄養生化学研究室Delayed first active-phase meal, a breakfast-skipping model, led to increased body weight and shifted the circadian oscillation of the hepatic clock and lipid metabolism-related genes in rats fed a high-fat diet(PLOS ONE 2018年10月31日)
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