1回の採血で「4年以内の糖尿病発症リスク」を判定 アミノ酸バランスに着目

 味の素は、1回の採血で現在がんである可能性を評価する従来の「AICS」に、「4年以内の糖尿病発症リスク」と「血液中の必須・準必須アミノ酸濃度に基づく栄養状態」の評価を行う「アミノインデックス 生活習慣病リスクスクリーニング」(AILS)を追加した「アミノインデックス リスクスクリーニング」(AIRS)を11月に発売する。
病気になるとアミノ酸バランスが変動
 厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる患者は約1,000万人、糖尿病の可能性が否定できない予備群は約1,000万人と推定されている。糖尿病を予防するために、発症の前段階で食生活や運動習慣を見直すことが必要だ。

 一方で、日本人の食習慣が欧米型に変化したことで、タンパク質と脂質の摂取量は増加したが、とくに高齢者で、食べる機能の低下に起因する食欲低下による不足栄養やダイエットなどにより、タンパク質摂取量が減少している。タンパク質の不足はロコモティブシンドロームや貧血、免疫力低下と関連がある。日本人の2015年のタンパク質の平均摂取量は、2000年比で男女共に約11%減少しているという。

 血液中のアミノ酸濃度バランスは、健康な人では一定に保たれているが、病気になるとそのバランスが変動する。同社は、さまざまな疾患で特徴的な変動を示す血液中のアミノ酸濃度バランスに着目し、健康状態や病気の可能性を明らかにする「アミノインデックス技術」を開発した。このほど、この技術を応用し、「AILS」(糖尿病リスク)と「AILS」(アミノ酸レベル)を開発した。

 「アミノインデックス がんリスクスクリーニング」(AICS)は、血液中のアミノ酸濃度を測定し、健康な人とがんである人のアミノ酸濃度のバランスの違いを統計的に解析することで、現在がんである可能性を評価する検査。同社は2011年よりサービスを開始し、2017年8月末時点で、人間ドックを中心に全国で約1,300の医療施設で採用されているという。
アミノ酸で4年以内の糖尿病発症リスクを評価
 「AILS」(糖尿病リスク)は、「4年以内の糖尿病発症リスク」を評価する。人間ドック受診者7,703名の血液中のアミノ酸濃度バランスを測定し、4年以内に糖尿病を発症した人と発症しなかった人との違いをリスク評価に応用している。
 「AILS」(アミノ酸レベル)は、食事から摂る必要がある10種類の必須・準必須アミノ酸の血液中の濃度を測定し、タンパク質の構成成分であるアミノ酸が体内で不足しているかどうかを評価する。1,890名の血液中の必須・準必須アミノ酸濃度を測定し、その結果をもとに偏差値化した。偏差値30未満を「低値」と設定し、10種の必須・準必須アミノ酸のいずれか1つでも低値になった場合に、AILS(アミノ酸レベル)が「低い」と評価する。

 一般的に、低栄養の診断にはアルブミンや体重の減少割合などが基準として用いられるが、これらの診断基準で判定されるのは重度な低栄養状態だ。AILS(アミノ酸レベル)は、深刻な状態に陥る前の、日常でも起こりうるアミノ酸不足について評価することができるという。

 「AILS」(糖尿病リスク)は、「ランクA」「ランクB」「ランクC」の3ランクに分類され、「AILS」(アミノ酸レベル)は「通常」「低い」で評価する。この2つの評価項目の結果のうち、AILS(糖尿病リスク)で「ランクB」「ランクC」に該当する場合を同じカテゴリとし、タイプI~IVの4つに分類し、検査結果報告書に表示する。それぞれのタイプに応じて「生活改善ガイド」の冊子を用意し、受診者に情報提供を行う。

臨床アミノ酸研究会
がんリスク検査「アミノインデックスがんリスクスクリーニング」医療機関サーチ