心筋梗塞や脳卒中の予防に効果的な労働時間 時短でリスクは低下?

 心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を予防するためにちょうど良い労働時間は週に40~45時間であることが、米国のテキサス大学の研究で明らかになった。
労働時間は短くても長くても良くない
 研究チームは、約1,900人の労働者を10年以上にわたり追跡調査。期間中に、43%が心筋梗塞、狭心症、心不全、心臓発作、高血圧、脳卒中などの心血管イベントを発症した。パートタイマーを除く正規労働者の勤務時間が週に1時間増えるごとに、心血管イベントのリスクが1%上昇することが明らかになった。

 勤務時間が週の30~40時間であると勤務時間が増えるごとに心血管イベントのリスクが上昇したが、週に40~45時間であるとリスクは下がり、46時間を超えるとリスクがふたたび上昇した。

 また、心血管イベントのリスクは、勤務時間が週に平均45時間のグループに比べると、週に55時間のグループで16%上昇し、週に60時間のグループで35%上昇した。

 「過去の研究では労働時間が長くなるとそれだけ心血管イベントのリスクが上昇するという結果が示されましたが、今回の研究では労働時間は短過ぎても長過ぎても良くないことが判明しました。労働者にとって適度な労働時間があるようです」と、テキサス大学保健科学センターのセイディ コンウェイ氏は言う。

 心臓の健康に良い労働時間は1週間あたり40~45時間、週休2日であれば1日あたり8~9時間に相当するという。

 仕事と生活の両立を目指す「ワーク・ライフ・バランス」の考え方が浸透するにつれ労働時間は減少する傾向にあるが、時間が短ければ良いというわけではなさそうだ。

 「米国では毎年数百万人が心臓疾患を発症しています。勤務体制を調整し適度な労働時間を得ることで、多くの人の生活の質が向上する可能性があります」と、コンウェイ氏は述べている。この研究は医学誌「Journal of Occupational and Environmental Medicine」に発表された。

Long Work Hours Linked to Higher Cardiovascular Disease Risk(Journal of Occupational and Environmental 2016年3月3日)