2015年09月11日
厚生労働省は、9月に実施している「食生活改善普及運動」に合わせて、国内で多く食べられている野菜のランキングをはじめて公表した。摂取量がもっとも多い野菜はダイコンであることが判明した。同省は、「健康のためにプラス1皿の野菜」をとり、バランスのよい食事を心がけるよう呼びかけている。
あと野菜70gを多く食べると健康寿命を伸ばせる
「健康日本21(第二次)」では、カリウム、ビタミンC、食物繊維などの適量摂取を期待できるとして、成人1日当たりの野菜の摂取量の目標を350gに定めている。しかし、実際の平均摂取量は280gで、10年以上前からこの数値は動いていない。
あと野菜70gを多く食べてもらうために、国民1人ひとりにアクションを起こしてもらうことが必要だ。厚生労働省は健康寿命の延伸につなげるため、いろいろな野菜を組み合わせて「毎日プラス1皿」を実施するよう呼びかけている。
同省が今回発表したランキングは、「2012年国民健康・栄養調査」をもとに、約3万2,000人が食べた野菜の量を分析したもの。その結果、平均摂取量はダイコン(33.8g)が最多で、タマネギ(31.6g)、キャベツ(26.9g)、ハクサイ(21.3g)、ニンジン(20.4g)と続いた。
1日に食べる人の割合が高かったのは、ニンジン(77%)、タマネギ(65%)、ダイコン(51%)、キャベツ(45.9%)、根深ネギ(38.0%)の順だった。このランキングは野菜の価値の優劣を示すものではないが、さまざまな料理に使われる野菜や、1回に多くの量を食べられる野菜が上位に入った。
「毎日プラス1皿の野菜」(70~80g)を実行することで、カリウムは5%、ビタミンCや食物繊維は10%の、それぞれ摂取量を増やすことことが期待できる。日本人の野菜からの平均摂取量は、カリウムが509mg、ビタミンCが35mg、食物繊維が5.2gとなっている。
野菜を食べると満腹感を得やすい 肥満の予防・改善に
肥満や2型糖尿病を予防・治療するために、食事や運動など生活スタイルの改善は欠かせない。厚生労働省の発表によると、BMI(体格指数)が25以上の肥満の割合は、40歳代男性で37%、女性でも50歳以上で20%を超えている。また糖尿病の患者数は、"糖尿病予備群"を含めると約2,050万人と推定されている。
食生活の改善では食べ過ぎないことが基本で、そこでも野菜がポイントになる。食物繊維が豊富な野菜を先に食べると、胃から小腸への食物の移動時間を遅らせたり、小腸での消化・吸収をゆるやかにする。そのため、食後の血糖値の急上昇を防ぐことができる。
また、先に野菜をたくさん食べると胃が膨れて満腹感が得られるため、食事の全体量を減らすことができ、減量につながる。肥満の解消は高血圧や2型糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に対策するために必要だ。
なお、腎機能が低下している人などは野菜の摂取に注意が必要な場合もある。そうした人は、医師や管理栄養士に相談することが勧められている。
「食べることが好きな人にとって、食事を適正な量に抑えるのは苦痛かもしれないが、野菜を上手に利用して、自分で前向きに続けられる方法をみつけて食生活を改善してほしい」と同省では呼びかけている。
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