血糖コントロールを改善すれば睡眠の質も改善 睡眠障害は治療できる
2015年04月23日
糖尿病の血糖コントロールが悪化すると、深い眠りが妨げられ睡眠の質が低下しやすいことが分かったと、大阪市立大学の研究グループが発表した。睡眠障害が朝の血圧が高い「早朝高血圧」を起こすことも判明した。
糖尿病と睡眠障害は密接に関連しており、両方を治療することが重要となる可能性が示された。
糖尿病と睡眠障害は密接に関連しており、両方を治療することが重要となる可能性が示された。
糖尿病に伴う高血圧などの病気を防ぐには、血糖値をコントロールするのに加え、睡眠を改善することも重要であることを、大阪市立大学の研究グループが解明した。十分に眠れていない睡眠障害の患者は、糖尿病になりやすいことなどが知られていたが、睡眠障害と血糖コントロールの関連は詳しく分かっていなかった。 今回の研究は、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章教授らによるもので、米オンライン科学誌「プロスワン」に発表された。
血糖コントロールが悪化すると睡眠を十分にとれなくなる
睡眠中は、体は眠っているが脳が起きているような状態の浅い眠りである「レム睡眠」と、大脳皮質を休息させる深い眠りである「徐波睡眠」が繰り返される。
睡眠障害を治療すれば血糖コントロールも改善
研究グループは、「糖尿病患者への積極的な睡眠障害に対する治療」の必要性を強調している。睡眠障害を治療することで、不眠によるQOL(生活の質)の低下を防げるだけでなく、交感神経活動の低下により夜間・早朝の高血圧も改善できる可能性がある。
血糖コントロールを改善すれば、睡眠の質が改善し、早朝の高血圧を防ぎ、動脈硬化の進展予防にもつながる可能性がある。今後の研究で、睡眠障害の治療薬であるオレキシン阻害薬で睡眠を改善すると、糖尿病のコントロール指標がどけだけ改善するかを調査する予定だ。
「現在は睡眠導入薬が進歩しており、睡眠障害の治療は安全・効果的に行えるようになっている。睡眠障害の治療により、睡眠の質だけでなく、糖尿病の症状も改善させることが期待できる」と、稲葉教授は述べている。
大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学
Association between poor glycemic control, impaired sleep quality, and increased arterial thickening in type 2 diabetic patients(PLOS ONE 2015年4月14日)
Association between poor glycemic control, impaired sleep quality, and increased arterial thickening in type 2 diabetic patients(PLOS ONE 2015年4月14日)
[ TERA ]
日本医療・健康情報研究所
日本医療・健康情報研究所
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。 ©2006-2024 soshinsha. 日本医療・健康情報研究所