COVID-19の流行に伴い座位行動・内臓脂肪は増加:花王・弘前大学研究グループ
2023年04月07日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い座位行動・内臓脂肪は増加したことを示唆するデータが報告された。花王・弘前大学研究グループの研究の結果であり、「International Journal of Obesity」に2月16日、論文が掲載された。
COVID-19の流行により、外出機会の減少に伴う座位行動の増加、肥満の増加など、人々の行動の変化や健康への影響を報告した研究が増加している。しかしながら、これまでの研究ではアンケート調査などの主観的な方法で評価しており、客観的に測定した研究はほとんど報告されていない。また、座位行動と内臓脂肪の関連を示した研究も主としてCOVID-19前に実施されたものであった。そこで研究グループは、弘前大学が行っている住民対象疫学研究「岩木健康増進プロジェクト・プロジェクト健診」のデータを用いてこの点を検討した。
2018年(COVID-19流行前)および2020年(COVID-19流行中)に実施された住民健診のデータを解析した。データ欠落者などを除外し257人(平均±SD:53.3±13.6歳、女性63.8%)のデータを縦断的に解析した。活動量計により座位行動時間を、内臓脂肪計により内臓脂肪面積を精密に測定した。
COVID-19流行前と比較して、COVID-19流行中では座位行動時間および内臓脂肪面積は有意に増加した(それぞれP<0.001, P=0.006)。また、座位行動時間の増加は、内臓脂肪面積の増加と有意に関連した(相関係数r=0.132, P=0.035)。次に、交絡因子(ベースライン測定時の年齢、性別、喫煙、教育歴、飲酒量、エネルギー摂取量、座位行動時間、内臓脂肪面積)を調整の上、座位行動の増加と内臓脂肪面積の関連を検討した。その結果、座位行動1時間の増加は内臓脂肪面積3.85cm2の増加と有意に関連したことが分かった(β=3.85, 95% CI 1.22-6.49, P=0.004)。
著者らは本研究を、COVID-19流行による客観的に測定された座位行動および内臓脂肪への影響および両者の関連を検討した初の研究と位置付け、論文の結論を「座位行動をモニタリング・管理することで内臓脂肪の蓄積が予防できる可能性がある」とまとめている。
Abstract/Full Text
https://doi.org/10.1038/s41366-023-01274-9
(2023年04月)