朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?

 朝食を食べない習慣は、肥満・脂質異常症・高血圧・糖尿病などと関連することが、さまざまな研究で示されている。朝食欠食により体重が増えやすくなり、筋肉は減り、肥満リスクが上昇することが分かっている。

 朝食を欠食することの多い人は、▼外食の頻度が高い、▼インスタント食品の利用が多い、▼就寝時間が遅い、▼1人暮らし――といった共通する生活スタイルをもっていることが、40~74歳の男女11万人超を対象とした研究で明らかになった。

 「朝食を食べない理由のひとつに、十分な時間がないことが考えられます。朝食をしっかりと食べるように改善していくために、包括的なアプローチが必要です」と、研究者は述べている。

朝食欠食に影響する共通する生活スタイルは?

 朝食を習慣的に食べない「朝食欠食」は、とくに若年の男性で多くみられる。女性でも、ダイエットを目的に積極的に行っている人がいる。

 朝食を食べないことは、肥満・脂質異常症・高血圧・糖尿病などと関連することが、さまざまな研究で示されており、食事指導でも重要とみられている。名古屋大学の研究でも、朝食欠食により体重が増えやすくなり、筋肉は減り、肥満のリスクが上昇することが示されている。

 朝食欠食に影響する共通する生活スタイルを明らかにすれば、食事を改善するために、より効果的で包括的なアプローチをとれるようになる可能性がある。

 そこで大阪大学や国立がん研究センターなどの研究グループは、対象となった全国7都府県の16市区町村に2011年~2016年に在住していた40~74歳の男女11万2,785人(男性 5万1,952人、女性 6万833人)を対象に、朝食摂取の状況と他の食行動および生活スタイルについて調査した。

 次世代多目的コホート研究「JPHC-NEXT」は、日本人の生活習慣・生活環境に関するアンケート情報・健診情報・遺伝子解析結果・追跡情報などを活用した医学的研究。国民の健康の維持・増進、脳卒中・心筋梗塞・がんなどの予防や治療に役立てることを目的としている。

 その結果、朝食を欠食することの多い人は、▼外食の頻度が高い、▼インスタント食品の利用が多い、▼就寝時間が遅い、▼1人暮らし――といった共通する生活スタイルをもっている傾向があることが明らかになった。

朝食を欠食する人は、外食やインスタント食品を食べる頻度が高い

朝食を欠食する人は、男女ともに就寝時刻が遅く、1人暮らしをしている傾向がある

出典:国立がん研究センター、2023年

朝食を食べない理由は「時間がないから」?

 朝食を食べない理由のひとつに、十分な時間がないことが考えられる。朝食を欠食する人が、外食やインスタント食品の利用が多い背景として、時間を十分にとれないなかで食品を選ぶとき、便利さや準備が簡単であることを優先している可能性が挙げられる。

 生活スタイルについては、朝食を欠食する人では、就寝時刻が遅い割合が高いことも示された。就寝時刻が遅いと、概日リズムが乱れ、食欲不振から朝食を抜いている可能性が考えられる。

 また、同居する人の有無については、これまでの研究でも、配偶者と同居している人よりも1人暮らしをしている人で、朝食を抜く割合が高いことが報告されており、今回の研究でも同様の結果になった。

 朝食をしっかりと食べるように改善していくために、▼食事に割くことができる時間と労力、▼体内時計の正常化、▼孤食をしている人への対策など、包括的なアプローチが必要であることが示された。

次世代多目的コホート研究「JPHC-NEXT」(国立がん研究センター 予防研究グループ)
Dietary behaviours and related lifestyles according to the presence or absence of skipping breakfast in Japanese adults: the JPHC-NEXT study (Public Health Nutrition 2023年2月13日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]