新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
2023年02月24日

新型コロナによる後遺症は、健康的な生活スタイルをもっている人では軽減されることが、3万人超を対象とした調査で明らかになった。
▼健康的な体重、▼禁煙、▼運動の習慣化、▼十分な睡眠、▼質の良い食事、▼適度なアルコール摂取など、健康的な生活スタイルを多くもつ女性は、そうでない女性と比べ、新型コロナの長期化のリスクが半分に減少した。
新型コロナをはじめとする感染症では、これらに加えて、「社会的孤立」や「対人関係の悪化」などの感情的ストレスが、重症化に深く関わっていることも分かっている。
健康的な生活スタイルにより新型コロナの後遺症リスクは半分に
新型コロナによる後遺症は、健康的な生活スタイルをもっている人では軽減される傾向があることを、米ハーバード公衆衛生大学院が発表した。研究成果は、「JAMA Internal Medicine」にオンライン掲載された。 ▼健康的な体重、▼禁煙、▼運動の習慣化、▼十分な睡眠、▼質の良い食事、▼適度なアルコール摂取など、健康的な生活スタイルを多くもつ女性は、そうでない女性と比べ、新型コロナの長期化のリスクが半分に減少した。 「新型コロナの波は続いており、新型コロナの感染およびその後遺症は、深刻な公衆衛生上の負担を生み出しています。今回の調査結果は、より健康的な生活を選ぶことで、新型コロナの後遺症の発症リスクを軽減できる可能性が示されました」と、米国環境保健省の上級研究者であるアンドレア ロバーツ氏は言う。 米国では800万~2,300万人が、新型コロナ感染症の感染から4週間以上後に症状が出てくる後遺症に苦しめられていると推定されている。主な症状は、疲労、発熱、呼吸器障害、心臓・神経・消化器の異常などがある。 そこで研究グループは、米国で実施されているコホート研究である「看護師健康調査II」に参加した3万2,249人の女性看護師のデータを解析。2015年と2017年に生活スタイルについて調査し、2020年4月~2021年11月の新型コロナ感染の履歴を調査した。 期間中に1,981人が新型コロナに感染し、うち44%が新型コロナの後遺症を発症した。生活改善は新型コロナの長期にわたる予防に有益
解析した結果、健康的な生活スタイル要因を5~6つもっている女性は、1つももたない女性に比べ、新型コロナの長期リスクが49%低かった(RR 0.51、95%CI 0.33~0.78)。 6つの生活スタイル因子のうち、新型コロナの後遺症リスクの低下ともっとも強く関連していたのは、健康的な体重を維持すること(RR 0.85、95%CI 0.73~1.00)と、十分な睡眠(毎日7~9時間)をとっていること(RR 0.83、95%CI 0.72~0.95)だった(P=0.008)。 新型コロナに長期にわたって罹患した女性であっても、感染前の生活スタイルがより健康的だった女性は、日常生活に支障をきたす症状があらわれるリスクは30%低いことが示された。また、生活スタイルの項目が多いほど、効果も高いことが示された。 「健康的な生活スタイルと新型コロナの後遺症の軽減とが関連している理由として、慢性炎症と免疫調節不全のリスク軽減が考えられます」と、同大学院栄養学部のシウェン ワン氏は言う。 「多くの医師や科学者たちが過去数十年間に、健康的な生活スタイルは全体的な健康アウトカムを良くすることを確かめてきました。しかし米国では、人口の70%が健康的な体重を維持できず、30%が十分な睡眠をとれていません」。 「今回の研究は、食事や運動、十分な睡眠、禁煙などの生活スタイルの改善が、新型コロナの長期にわたる予防に有益である可能性を示しています」としている。新型コロナなどの感染症への対策ではストレス対策も重要
新型コロナの感染と重症化に心理的・社会的なストレスも影響

コロナ対策は対人ストレスにもつながりやすい
研究グループは、風邪を引き起こす8種類のウイルス株と、インフルエンザを引き起こす2種類のウイルス株に焦点を当て、生活スタイルや社会的・心理的要因が、呼吸器感染症のリスクにどう影響するかを調べた その結果、社会的・心理的ストレッサーと、感染症の感受性の上昇とのあいだに、強い相関関係があることが分かった。 慢性的な心理的ストレスに影響する要因として、▼社会的な交流や支援の欠如、▼運動や身体活動の不足、▼十分で質の良い睡眠をとれていないこと、▼喫煙、▼過度のアルコール摂取、▼長期にわたる対人関係のもつれや経済的な悩みなどが考えられるという。 一方で、社会的役割が多い人や、社会的な支援を多く受けられている人では、心理的ストレスの緩衝がみられた。多様な社会的ネットワークを多くもっている人は、禁煙や適度な飲酒、十分な睡眠な運動など、自身をより良く管理できる傾向もみられた。 「社会的・心理的ストレッサーと、感染症の感受性の上昇とのあいだに、強い相関関係があることを明らかにしました。これらは、風邪やインフルエンザのウイルスの感染による、炎症誘発性物質であるサイトカインの産生過剰に関連している可能性があります。過剰な炎症は、感染症の重症化リスクを高めます」としている。 「これまでに多くの人が、コロナウイルスの拡散を抑制するための戦略として、外出自粛やソーシャルディスタンスの確保など、行動の変化を求められました。これらは、孤独・失業・家族の対立などの対人ストレスにもつながりやすいとも言えます」と、コーエン教授は指摘する。 「これらのストレッサーは、新型コロナにさらされた場合に、どのように反応するかを予測する強力な因子となる可能性があります。ストレッサーが免疫に直接的な生理学的な影響をもたらしています」としている。Adherence to Healthy Lifestyle Prior to Infection and Risk of Post-COVID-19 Condition (JAMA Internal Medicine 2023年2月6日)
Contracting COVID-19: Lifestyle and Social Connections May Play a Role (米国科学的心理学会 2020年7月9日)
Psychosocial Vulnerabilities to Upper Respiratory Infectious Illness: Implications for Susceptibility to Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) (Perspectives on Psychological Science 2020年7月8日)
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- 野菜摂取量の平均値は、256.0g(男性262.2g、女性250.6g)。野菜摂取量は有意に減少 令和5年(2023)「国民健康・栄養調査」結果より
- 糖尿病が強く疑われる人は、男性16.8%、女性8.9% 令和5年(2023) 「国民健康・栄養調査」の結果より
- 肥満の人は、男性31.5%、女性21.1%。やせの人は、男性4.4%、女性12.0%(20歳代女性20.2%) 令和5年(2023)「国民健康・栄養調査」の結果より
- 特定健診(40~74歳)受診者約3,017万人のうち、メタボリックシンドローム該当者は16.6%(男性13.3%、女性3.2%)、予備群該当者は、12.3%(男性 9.7%、女性2.6%) 令和4年(2022)「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」の結果より
- メタボリックシンドロームが強く疑われる人は、男性 4.3%、女性11.3%。予備群の人は、男性 4.3%、女性11.3% 令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」の結果より