「健康のための運動」を始めるのに年齢は関係ない 年齢を重ねてから始めても恩恵を得られる
2021年09月21日
運動は体に良いことは知っていても、「自分の年齢で始めるのはもう遅い」とあきらめている人も多いのではないだろうか。そんな人に朗報となる研究が、欧州心臓病学会(ESC)で発表された。
年齢を重ねてからウォーキングなどの運動や身体活動を始めた人でも、以前から活動的だった人と同じくらいの、健康に対するベネフィットを得られることが明らかになった。
「人生の後半になって運動を始めても、過去に運動不足の生活をおくっていたことの悪影響を軽減できます。運動を始めるのに遅すぎることはありません」と、研究者は述べている。
年齢を重ねてからウォーキングなどの運動や身体活動を始めた人でも、以前から活動的だった人と同じくらいの、健康に対するベネフィットを得られることが明らかになった。
「人生の後半になって運動を始めても、過去に運動不足の生活をおくっていたことの悪影響を軽減できます。運動を始めるのに遅すぎることはありません」と、研究者は述べている。
年齢を重ねてから運動を開始するとどんなメリットが?
心臓病のある患者にも、運動や身体活動を習慣として行うことが勧められているが、これまでの研究は調査した期間が短く、患者は生涯で自分が行う運動活動について変更する可能性があり、健康に長期間にどう影響するかをみていないものが多かった。
そこでスイスのベルン大学などの研究グループは、9件の縦断的コホート研究から、冠状動脈性心疾患の3万3,576人の患者のデータを解析した。対象となった患者の平均年齢は62.5歳で、34%が女性、追跡期間(中央値)は7.2年だった。
運動や身体活動について経時的に調査し、健康な人と同等の尺度で、アクティブであるか、非アクティブであるかを評価し、その経時的な影響を調べた。推奨される運動量は、中強度の運動を週に150分以上、活発な活動を週に75分、あるいはその2つを組み合わせて行うことだった。
患者を、ベースライン時およびフォローアップ時の活動状態に応じて、4つのグループに分けた。「時間の経過にともない活動が増加したグループ」を非アクティブからアクティブへの変化、「時間の経過にともない活動が減少したグループ」をアクティブから非アクティブへの変化ととらえた。
運動不足だった人も、新たに運動を開始すれば恩恵を得られる
その結果、ずっと活動をしていないグループに比べ、「ずっと活動的であったグループ」は、すべての原因による死亡リスクは50%減少した。さらに、「時間の経過にともない活動が増加したグループ」でも、死亡リスクは45%減少した。一方、「もともと活動的だったが減少したグループ」では減少は20%にとどまった。
心血管疾患による死亡についても同様の結果が示された。心血管死亡のリスクは、ずっと活動をしていないグループに比べ、「ずっと活動的であったグループ」では51%減少し、「活動が増加したグループ」でも27%減少した。一方、「活動が減少したグループ」では差が出なかった。
「今回の発見により、冠状動脈性心疾患のある患者でも、身体的に活発な生活スタイルを開始し、維持することで、大きなベネフィットを得られることが明らかになりました」と、ベルン大学社会・予防医学研究所のナターリア ゴンザレス氏は言う。
「何年にもわたって、アクティブな生活スタイルを継続することは、健康長寿に最大限につながります。しかし、運動や身体活動をしていなかった人でも、新たにそれを始めることで健康寿命を延ばすことにつながることが分かりました。もっともリスクが高いのは、運動不足が続いていて、何もしない人たちです」としている。
その一方で、「もともと身体的に活発な生活をおくっていた人は、それを維持できないでいる場合、それまでの身体活動によるメリットが減弱したり、消失してしまう可能性があります」と注意を促している。
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Taking more steps daily may lead to a longer life(米国心臓学会 2021年5月20日)
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