低炭水化物ダイエットと低脂肪ダイエット 効果的なのはどちら?

 脂質量とカロリー摂取量を制限する「低脂肪ダイエット」は、体脂肪や体重を減らすのに効果的であることが、研究で確かめられた。
メタボや肥満に対策するのに効果的なダイエットはどれ?
 「低炭水化物ダイエット」は、肥満や2型糖尿病の治療を目的として、ご飯やパンなどの炭水化物の摂取比率や摂取量を減らす食事法だ。主食を減らすだけで簡単に取り組めるので人気が高いが、その効果についてはさまざまな議論がある。

 一方、「低脂肪ダイエット」は、脂肪の少ない肉、魚介類、大豆製品、乳製品を選んで食べる食事法。低脂肪の食材を使わなければならないので、実行するのは比較的難しいとされる。

 「メタボリックシンドロームや肥満の人が体脂肪を減らしたい場合に、低炭水化物ダイエットと低脂肪ダイエットのどちらが良いのか?」という議論が多く行われている。米国で行われた最新の研究で、低脂肪ダイエットの方がより効果的であることが判明した。

 研究は、米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが行ったもので、体格指数(BMI)の平均が36で平均年齢が35歳の肥満者19人が参加して行われた。米国ではBMIが30以上であると肥満と判定される(日本の基準ではBMI25以上が肥満)。

 研究チームは、参加者にNIH臨床センターの「メタボリックユニット」に数週間入院してもらった。最初の5日間は糖質50%、脂質35%、蛋白質15%で構成されたバランスのよいベースライン食をとってもらった。

 続く2週間は脂質量を30%減らした脂質制限食を摂取し、さらに続く2週間は炭水化物量を30%減らした炭水化物制限食を摂取してもらった。どちらもベースライン食よりもカロリー摂取量を30%制限した。

 その結果、1日あたりの体脂肪減少量は、炭水化物制限群では53gだったのに対し、脂質制限群では89gと有意な差がみられた。

 減量効果は、脂質制限群(マイナス1.4kg)より炭水化物制限群(マイナス1.8kg)で大きかったが、研究者によると水分消失量の違いによるものだという。

体重や体脂肪を減らすためにカロリー制限は必須
 厳密な実験を行った結果、脂質を制限すると体脂肪の減少幅がより大きいことが明らかになったことについて、「"低炭水化物ダイエットが効果的だ"と一部で断言されていますが、今回の研究はそれは否定するものです」と、研究に関与していないタフツ大学栄養学部のスーザン ロバーツ教授は言う。

 「ダイエットに関してはさまざまな情報が溢れており、どのやり方が効果的かという論争がたくさんあり、ダイエットに取り組む人を悩ませています。今回の研究はそうした論争に一石を投じる質の高いものです」と、ロバーツ教授は述べている。

 「炭水化物を制限すると、血糖値や、血糖値を下げるインスリンの値が改善すると考えられていますが、今回の実験では、炭水化物制限と脂質制限でインスリン値などの指標に差はみられませんでした」と、米国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDKD)のケビン ホール氏は言う。

 「カロリー摂取量を減らすことが効果的であることが確かめられたことが、今回の研究のポイントです。体脂肪や体重を減らすのにカロリー制限が必要です」と、ホール氏は言う。

 「ただし、現実の世界は研究室よりも複雑です。体脂肪や体重を減らすためのダイエットは続けられることが大切なので、体重を減らしたい、肥満を解消したいと考えているのなら、取り組みやすい食事法を早く見つけることが大切です」と、ホール氏は付け加えている。

NIH study finds cutting dietary fat reduces body fat more than cutting carbs(米国立衛生研究所 2015年8月13日)
Calorie for Calorie, Dietary Fat Restriction Results in More Body Fat Loss than Carbohydrate Restriction in People with Obesity(Cell Metabolism 2015年8月13日)
You Don't Need To Go Low-Carb To Burn Body Fat, Study Says(National Public Radio 2015年8月13日)